ロンドンの金融街「シティ」の一角にあるレドンホール・マーケット(Leadenhall Market)は、歴史の重みと趣が体感できる美しい屋内マーケットです。ロンドンの中で最も古いマーケットのひとつとして数えられていますが、今日の姿は、小さな屋台がいくつも並ぶマーケットというよりは、複数の店が軒を連ねる屋根付きのショッピングアーケードを思い浮かべていただくと良いかと思います。
レドンホール・マーケットの歴史
レドンホール・マーケットの公式サイトによると、マーケットが位置しているのは、古代ローマ帝国時代、ロンドンが「ロンディニウム」として知られていた頃の中心部、とのこと。まさにこの地に「フォーラム」と呼ばれる広場が紀元後70年頃には存在していたそうです。そして今から約700年前の1321年までには、すでにこの場所は家禽類の市場として賑わっていたようで、その1321年がレドンホール・マーケットの創業年として記されています。

レドンホール・マーケットを所有・管轄しているのは、シティ・オブ・ロンドン自治体(City of London Corporation)です。ということで、マーケットの歴史を紹介したシティ・オブ・ロンドン自治体による案内板が掲げられています。

肉類、狩猟肉、家禽の市場としてスタートしたレドンホール・マーケットは、2021年には創業700年を祝いました。現在ではレストランやカフェ、バー、パブ、ブティックや小売店が立ち並ぶ、ショッピングアーケードとなっています。
ホレス・ジョーンズ卿の手がけた美しいデザイン
現在目にできるマーケットの建物のデザインは、タワー・ブリッジの設計者として知られる建築家のホレス・ジョーンズ卿が1881年に手がけたもの。ビクトリア様式のこのマーケットの建物は、1972年にヒストリック・イングランドよりグレードII 建築物の指定を受けています。

グレイスチャーチ・ストリートに面した入口頭上。赤レンガの建物と細かい装飾がとても豪華!

マーケット中央部。クリスマス時期にはツリーの前で写真を撮る人たちで混雑していました。
天井のデザインも忘れずに見上げてチェックしてみてください。

2012年のロンドンオリンピックでは、レドンホールがマラソン競技のコースの一部に組み込まれました。男女ともに、出発から22kmを少し過ぎた辺りで、美しいマーケットのアーケードの下を駆け抜けて行く選手たちの姿が見られたのです。その模様は、現在でも国際オリンピック委員会の公式YouTubeチャンネルにあげられているビデオで見ることができます。