ナレッジベースが重視されている背景
ナレッジベースという概念自体は以前から存在していましたが、積極的に企業が導入するようになったのは最近のことです。なぜナレッジベースが重視されるようになったのでしょうか。背景にある社会の変化をご紹介します。
働き方の多様化・人材の流動
現代は多様な働き方が一般的になっている時代です。日本の慣行である終身雇用制度は少しずつ常識ではなくなり、多くの方が転職したり起業したりと自身に合った働き方を取り入れています。
人材が流動しやすい現代では知見が伝達されにくく、情報の断絶が起こり始めました。業務を効率的に行い、かつ業績向上につなげるには社内に知見を蓄積し、共有することが非常に大切です。そこで重視されるようになったのがナレッジベースの作成と運用です。
短期間で人材が流動することになっても、ナレッジベースが構築されており、ただ運用されていれば、これまでの知見の蓄積を新入社員や中途採用の社員に抜け漏れなく伝えられます。
参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
IT技術の発達
IT技術が発達し、さまざまな情報がデジタルデータで共有・管理されるようになっているのもナレッジベースが重視されている理由のひとつです。膨大な情報をただ格納しているだけでは業務につなげることはできません。ナレッジベースとして情報同士を紐付け、誰もが共有・閲覧できる状態にしておくことで、情報を業務に有効活用できます。
IT技術の成熟により、ナレッジベースへのアクセスが容易になってきているのも理由のひとつとして挙げられます。パソコンの他、スマホやタブレットなどツールに対応した機器であればナレッジベースで情報を検索できるため、使い勝手の面でもナレッジベースが重視されています。
人材不足による業務効率化が求められる
ナレッジベースが重視されている理由として、人材不足による業務効率化が求められていることも挙げられます。
企業にとって従業員の生産性の向上は大きな課題です。日本には2019年より時間外労働の上限規制が導入されています。法律により従業員一人ひとりが可能な残業時間の上限が設けられており、それを超えて残業させた企業に罰則が与えられます。つまり、さらなる生産性向上を目指すには、業務の効率化が必須となるのです。
ナレッジベースは、個人が持つ暗黙知を形式知に変え、全社で共有できるのが大きなメリットです。それを有効活用することによって、業務効率化が期待できます。