厚労省の摂取基準を1本で超えるストロング系
一方、お酒に強くない人は量を飲もうと思っても飲めないため、アルコール依存症にはなりにくい。その代わり、ストロング系を飲み続けると別の健康リスクが高まる。そのうちのひとつが、がんだ。
そもそも、ストロング系にどれくらいの量のアルコールが含まれているかご存じだろうか。アルコールの質量をg(グラム)に換算すると、アルコール度数7%の350ml缶で約20g、8%なら約22g、9%なら約25gとなる。500ml缶の場合は、7%で約28g、8%なら約32g、9%なら約36gだ。
厚生労働省は、成人男性の1日のアルコール摂取量の目安を「20g程度」としている。アルコール度数5%の缶チューハイなら500ml缶を飲み干してもアルコール摂取は20gで済むが、ストロング系であれば軽く超えてしまう。
また、「20g程度」はあくまでも目安にすぎない。日本人によく見られる、少量の飲酒で顔が赤くなるような体質の人、女性や高齢者は、それより飲酒量を少なくすることが推奨されている。そうしないと、前述したがんのリスクも現実味を帯びてしまうという。
「愛知県がんセンター研究所が2016年に発表した論文によると、お酒を飲んで顔が赤くなる人が1回46g以上のアルコールを週5日以上摂ると、80歳までに20%の確率で食道がんになると推定されています。この46gというのは、アルコール度数9%の350mlのストロング系缶チューハイ2本分にあたる。お酒を飲んで顔が赤くなる人は、がんリスクについて特に注意が必要でしょう」(同)