お酒が強い人ほどストロング系を飲むのは危険?

 まず注意が必要なのは、アルコール依存症だ。2017年12月放送の『ニュースウオッチ9』(NHK)が、ストロング系缶チューハイを大量に飲み続けてアルコール依存症と診断された男性の例を報じていたが、近年はストロング系の常飲によるアルコール依存症患者が増えつつあるという。

 なぜ、ストロング系がアルコール依存症に結びつくのか。久里浜医療センターでアルコール依存症患者を専門に診ている医師の横山顕氏は、最大の問題は「アルコール度数が10%近いお酒が、缶単位で販売されていること」と指摘する。

「たとえば、瓶で売られている焼酎、ウイスキー、ワインなどは、自分が飲みたい量だけグラスに注ぎ、残りはとっておくことができます。しかし、缶チューハイの場合、プルタブを一度開けると1本飲み切るしかありません。そのため、必要以上にアルコールを摂ってしまう可能性があるのです。当然、アルコールの摂取量が多いほど依存リスクは高まります」(横山氏)

 通常の缶チューハイとストロング系のアルコール度数の数%の差は、想像以上に大きい。それにもかかわらず、缶で販売されているので「度数が高いから、半分だけにしておこう」とはならない。しかも、甘みや炭酸特有の爽快感もある。その結果、つい飲みすぎてアルコール依存症の入り口に立ってしまうのである。

 そう聞いて「自分はお酒が強いから大丈夫」と思った人は、さらに注意が必要だ。横山氏は、「いくらお酒を飲んでも赤くならず、酔いにくい人ほど、むしろアルコール依存症に気をつけるべき」と言う。

「アルコールから生じる有害物質のアセトアルデヒドの分解能力が強い体質の人は、多量の酒を飲めてしまうために、かえって依存症になりやすいのです。その中にアルコールの分解が遅い体質の人がいて、この体質は血中に長時間アルコールが残りやすく、それがさらにアルコールへの依存性を強めるケースもあります」(同)

 アルコールの分解が遅い人は日本人の約3~7%で、一見すると少数派だ。しかし、100万人ともいわれる国内のアルコール依存症患者のうち、約30%がこのタイプにあたるという。「お酒が強いからストロング系をいくら飲んでも大丈夫」というのは、単なる思い込みでしかないのだ。