従業員エンゲージメントが注目されている理由

従業員満足度やロイヤリティ、コミットメントなどの指標でも、十分に従業員と企業との関係性を測ることができます。それではなぜ従業員エンゲージメントが注目されているのでしょうか。重要な指標として注目している企業が増えている理由を3つご紹介します。

人的資本経営が重視されているため

従来は、社員の仕事や企業への意識を測定する指標として、満足度やコミットメントなどが用いられていました。

近年は、満足度を上げ、コミットメントを求めるだけではなく、ヒトを資本として捉え、価値や能力を最大限に発揮できる環境を整える「人的資本経営」が重視されています。

人的資本経営では、人材に投資を行います。例えば、成長機会や教育機会の提供が挙げられます。従業員は企業側が用意されている制度を利用してスキルアップし、身につけた能力によって生産性が向上します。

生産性が高まれば、業績向上も期待できます。従業員エンゲージメントを高めることでこのサイクルが完成し、企業の持続的な成長にも繋がります。

リモートワークが進み、対面のコミュニケーションが減っているため

新型コロナウイルスをきっかけに、日本ではリモートワークが急速に進んでいます。なかには、新型コロナウイルスの拡大が落ち着いたタイミングでオンラインとオフラインの2つを組み合わせたハイブリッド型勤務が可能な企業もあります。

リモートワークが進むと会議もオンライン上で行われることが多くなり、ちょっとした雑談も含めて対面でのコミュニケーションが減少します。管理職側は従業員の働きやモチベーションが見えにくくなり、従業員側は正当な評価がされていないのではないかと感じるようになります。

従業員のモチベーション低下を防ぎ、予期せぬ退職を生まないようにするには、従業員エンゲージメントを指標として企業と従業員との良好な信頼関係を築くことが重要です。

働き方や価値観の多様化・人材の流動化が進んでいるため

現代は、働き方や働くことへの価値観が多様化している時代です。日本は長らく、戦後から普及した雇用慣行である終身雇用制度が一般的とされていました。元々は企業の採用や育成の負担を減らすために取り入れられた制度ですが、現代の日本では維持することが難しくなってきています。

理由としては、正社員として就職し、1つの企業で長く働くという考え方ではなく、定期的に転職を行い、収入アップ・キャリアアップを狙うのが一般的になってきているためです。働くことへの価値観も多様化しており、仕事よりも自分らしい生活を重視し、必要最低限の収入があれば良いと考える方も増えてきています。

そうした状況では人材が流動しやすく、企業は常に採用活動を行わなければなりません。企業に対する貢献意欲を表す従業員エンゲージメントを高めれば離職・退職を抑えることができ、採用コストも減らせます。