インフルエンサーとのコラボで集客

 商品が良いとはいえ業績が伸びたのは、消費活動が落ち込んだコロナ禍である。コロナ禍での好調についてどのような背景があるのだろうか。

「今日の『しまむら』売上伸長基調となったきっかけの一つは、コロナ期の対応にあったと思います。コロナ禍による緊急事態宣言のなか、休業店舗数を可能な限り少なくして営業を継続していたのは、『しまむら』とユニクロくらいだったのではないでしょうか。路面単独店舗の多い『しまむら』にとって、店単独での判断がつきやすかったのも影響していたのでしょう。その結果、今まで『しまむら』に行ったことのない人の来店もあり、その後のリピーター醸成につながったと思います。ちなみに数字的にも20年6月から既存店売上高が前年の数値を上回るようになり、今日の快進撃の始まりとなっています」(同)

 コロナ期間中、他のアパレル大手は出店する商業施設やモールの休業に伴って休業となるケースが多かった。対して、『しまむら』は単独店舗が多く、自社の判断で営業を継続することができたのだろう。そして他にもインフルエンサーとのコラボなど、SNSの有効活用が集客につながったという。

「宣伝方法の変化としては、インフルエンサーコラボへの積極的な取り組みがあげられます。『しまむら』の公式X(旧Twitter)のフォロワー数は114万人とユニクロの173万人には及ばないものの、GUの83万人より多くのフォロワー数を獲得できています。公式フォロワー数のアップには発信力のあるインフルエンサーとのコラボは効果的であり、キャラクターコラボともなれば、それぞれのキャラクターファンからの支持も得られます。『しまむら』は年間約121回のチラシ(ウェブ版含む)のなかで、キャラクターを中心に特集したチラシを約24回も実施しました。大手衣料品チェーンのなかで取り扱うキャラクターの種類数では群を抜いています。このあたりの取り組みも『しまむら』からの発信力の強化と集客策として機能しているのだと思います。」(同)

 たび重なるキャラクターとのコラボがフォロワー数ひいてはファンの獲得につながり、集客に貢献したかたちである。