福岡のこれから
タイトルを獲ったことで、来季福岡に向けられる目は厳しくなる。2人の注目選手を問うと、それを打破することが期待できる選手と自身に縁のある選手の名が挙がった。
鈴木「やっぱり、城後さんが現役を続けるのであれば(12月27日に契約更新発表)、試合に出て点を取るところをまた見たいですね。金森も決勝の最後のピッチには立っていましたけど、スタメンではなかった。その悔しさを良いほうに持っていけるタイプの性格だと思いますし、ベテランと呼ばれる年齢にもなるので結果を出してほしいです。あとは相手に研究されて結果を出すことが難しくなってくる中で、紺野(和也)選手は違いを出せると思います。左利きでキックが上手い選手は好きですし。チームとして崩すのが難しいときに、彼のような選手の一振りで勝ち切ることが必要になると思うので、攻撃の選手に期待しています」
神山「この前たまたま一緒に食事もした、後輩の鶴野怜樹には期待しています。高校時代から足が速くてハードワークできる選手だったので、あとは得点にこだわってもらって来季は飛躍の年にしてもらえたら。城後と一緒のポジションですし、長くアビスパに在籍して城後が積み上げたものを引き継いでもらえたらなと思います。彼自身がもっと上に行くためにいろいろあるかもしれませんが、アビスパにいる間はそういうものを目指してやってもらえたらいいですね。あと僕はGKだったので、ルヴァン杯決勝で得点を挙げた宮(大樹)選手やGKなど、守備寄りの選手に期待しています」
福岡にとって悲願の初戴冠は、クラブ創設から28年目のものだった。単純な期間を考えると長い年数だが、現場に身を置いた人間には異なる感覚がある。
神山「いずれは(タイトルを)取れると思っていましたけど、こんなに早いとは。現役の時にアビスパに16年いるなかで、J2の優勝でさえ難しいと分かっていたので。それをJ1で、ルヴァン杯でタイトルを獲るのは本当に難しいことなので、今年達成できたアビスパは凄いなと思います」
プロとして福岡に所属していた期間は、2人あわせて27年。鈴木が下部組織に所属していた期間を加えると、優に30年を超える。そんな2人をはじめ、これまですべての監督や選手が懸命に努力を続けても達成できなかったタイトル獲得。そう考えると、より大きな事を成し遂げたと思えてくる。2023シーズンはは、表立って見える人たちだけでなく、多くの見えない人々の感情をも動かしたシーズンだった。
後日公開される続編では、2人が福岡所属時の思い出を中心に語っている。