悔しさとともに湧きあがった喜び
最終的にポストも味方につけ、2-1で逃げ切った福岡。試合終了を告げるホイッスルの瞬間、2人の胸にあったのは悔しさで、嬉しさはその後やってきたという。
鈴木「(福岡を)離れてもう3年ぐらい経っていたので、試合中はそんなに特別な思いはなかったんですけど、優勝が決まった瞬間は率直に悔しいという気持ちにもなりました。自分が在籍している時にタイトルを取りたいと思っていたので。アビスパの初タイトルに関わるという可能性がなくなったことに、悔しさがありました。
でも、城後さんがカップを掲げているところや(金森)健志が優勝の瞬間にピッチに立っていた姿。あとはサポーターが嬉し泣きしているのを見て、その時に『ああ、良かったな』と思いました。僕は(J1に)昇格した2020 年限りで退団したんですけど、コロナ渦真っ只中だったのでサポーターのリアクションを見れないままでした。また、その前のシーズン(2019年)はキャプテンをやっていたんですけど、J2で残留争いをしていて、サポーターが喜んでいる姿をなかなか見れないままだったんです」
神山「僕は素直に嬉しかったですし、でも自分が在籍している時にタイトルを1つでも取れたらという思いは持っていたので、惇も言ったようにちょっと悔しさもありました。けれど、やっぱり城後がトロフィーを掲げたことはアビスパにとって凄く良いことだし、城後とプレーして自分たちのようにアビスパを辞めた選手は皆、そう感じているんじゃないかなと思います」
FW城後寿はルヴァン杯決勝ではベンチ外だったものの、試合後には選手たちの提案によりサポーターの前で胴上げされた。来季20年目のシーズンを迎えるバンディエラは、サポーターにとってもそうであるように、共に戦った選手にとっても特別な存在だ。
神山「アビスパのためにずっとやってきた選手だと思います。細かくズバズバ言うタイプではないけれど、練習の姿勢とか、そういうところで後輩に語りかける。走る練習やオフの期間なども含めて、誰よりも練習していると思いますよ。それを見ている選手は尊敬しているでしょうし、僕にとっては後輩ですけど尊敬しかないですね。コミュニケーションが上手い選手かと言ったら口下手なのでそうでもないけど(笑)でもやっぱり言うべきときは言いますし、先輩後輩関係なくコミュニケーションを取ってくれる。(ルヴァン杯の)決勝戦には出られなかったですけど、だから城後がトロフィーを掲げた時はグッときましたね」
鈴木にとっても、城後は3度の昇格と2度の降格をともに味わった戦友。特別な存在だ。
鈴木「多分(城後に)めちゃくちゃたくさんのアシストはしてないんですけど、いつも信頼して動いてくれていました。身体能力が高いので、少々ピンポイントじゃなくても合わせてくれる。その身体能力をまだ維持しているので、努力の賜物だな、凄いなと思いながら見ています」