自動で車高が変わるありがたさ
先にもご紹介しましたが、今回のR 1300 GSツーリングというモデルでは車高を自動的に変化させるDSA(ダイナミック・サスペンション・アジャスト)が装備されています。停車時や車速20km/h以下ではシート高が820mmに、走行中は850mmへとシート高が自動でアップするという世界初の機構です。かねてよりBMWはDynamicESA(ダイナミック・イーサ)という電子制御サスペンションシステムを長らく採用してきました。ソロやタンデム、荷物満載など、さまざまなシチュエーションやオンロードやオフロードなど路面状況に合わせてサスペンションの減衰特性を変化させるDynamicESA。今回初めて自動で車高を調整するDSAが装着されたことは大きな進化です。

小柄なライダーにとって、信号待ちや停車時、さらにUターンの際や林道での極低速の走行など、足がつかないことによる不安は相当に大きなものでした。これは体格に恵まれたライダーには決して理解してもらえない事実です。しかしDSAの装備によって、体格に恵まれないライダーが抱えていた不安は大きく解消されたのです。今回の試乗ではフラットな林道にも繰り出してみましたが、進化したABSとサスペンションによって乗り心地も良好。もちろん、足をついて慎重に進みたいような場面では、DSAのメリットを存分に感じつことができました。

「自動で車高が変わるってどんな乗り味なの?」と思う方もいると思いますが、実際に乗ってみるといつ車高が変化しているのかは、よっぽど注意していないとほぼ気が付かないレベル。筆者はどうしてもその変化を体感したくなり、試しに信号待ちからスタートする際に、右足を出したまま走り出してみました。スタート時は地面についていた足は、車速があがるに連れて徐々に地面から離れていき……そこでようやく車高の変化を実感することができました。逆にこうでもしないと筆者は気が付かないほど自然に車高は変化するのです。急にドン!と車高が上げ下げするのではなく、あくまでもスムーズかつジワジワと変化するのです。
GSがあるバイクライフを初めて想像できた
自分のように小柄のライダーにとって、これまでのGSはどこか遠い存在でした。世界中のライダーが認める走行性能や乗り心地はもちろん体感していましたが、やはり実用的な部分では足つきや大きさに少し引いていたことも事実。GSへの憧れをあるものの、GSを実際に所有する、という現実味を感じることができなかったのです。

しかし、今回のR 1300 GSに触れてみて、筆者としては初めて「GSがある生活」を想像することができました。R 1300 GSなら自分でも乗れる、扱える、そんな気になったのです。今回は小柄な筆者が感じたR 1300 GSの魅力についてご紹介しました。ここで記述したことを読者のみなさんはどう感じるでしょうか。ぜひともその進化ぶりを試乗して確かめてみてほしいものです。