電子制御が洗練されラフロード走破性も高い

オンロード向けとなったVストローム800だが、アドベンチャーバイクということでフラットダートも走行してみた。フロントホイールは19インチとなり、タイヤもオンロード向けとなったが、フロントの接地感は予想以上に分かりやすかった。とは言え、800DEほどのグリップ力はなく、前後サスのストローク量は減少しつつタイヤ剛性は上がっているので、路面からの衝撃が身体に伝わりやすくなっている。急ブレーキや急ハンドルといった操作は荷重移動量を増やし、マシン挙動を乱して一気にバランスを崩す原因となる。また、コーナリングで車体を倒し込む際も舗装路のような安定性は感じにくい。

ただし、STCSとABSの制御が、かつてのVストロームシリーズと比べて洗練されているのも体感できた。フラットダートでSTCSとABSの両方を1に設定して走行したが、意図的にスロットルとブレーキの操作をラフに行なわなければ、どちらも介入が少なく自然な乗車感となっていたからだ。オンロード仕様となったVストローム800だが、路面が整備された林道やキャンプ場のフラットダート程度なら、ローRPMアシストの効果もあって、オフロード経験の少ないライダーでもトコトコと走破していける扱いやすさがある。

筆者は林道ツーリングが好きなので、試乗前はVストローム800DE一択と思っていた。しかし、林道ツーリングでのダート走行率は1割に満たないのが現実で、Vストローム800の取りまわしやすさ、舗装路での軽快で快適な乗り心地を体験してみると、Vストローム800の実用的な扱いやすさをかなり魅力的に感じたのも事実だ。エンジン型式は650/1050のVツインからパラレルツインへと変わり、エンジン特性に異なる部分もあるが、最新S.I.R.S.のおかげで乗りやすさはさらに増していて、Vストロームシリーズらしい扱いやすさはVストローム800にも健在だった。

<SPEC>
●全長/全幅/全高:2,255mm/905mm/1,355mm
●装備重量:223kg
●ホイールベース:1,515mm
●シート高:825mm
●エンジン型式:水冷4サイクル並列2気筒DOHC4バルブ
●総排気量:775cm³
●最高出力:60kW〈82PS〉/8,500rpm
●最大トルク:76N・m〈7.7kgf・m〉/6,800rpm
●燃料消費率 (WMTCモード値):22.6km/ℓ(1名乗車時)
●燃料タンク容量:20ℓ
●ブレーキ形式:前ダブルディスク、後ディスク
●タイヤサイズ(前/後):110/80R19M/C 59V / 150/70R17M/C 69V
●ボディカラー:パールビガーブルー、マットスティールグリーンメタリック、グラススパークルブラック

●価格:1,232,000円(税込)