フルタイム4WDやカブリオレ追加で話題の6代目(1985年)
基本的には先代からのキープコンセプトとなった6代目ファミリアですが、当時の流行にも乗って1.6リッターDOHCターボ車をモデルチェンジ9ヶ月後に追加、特に目玉となったのは国産車では初となるフルタイム4WDの設定でした。
既に海外ではフルタイム4WDターボのラリー車がWRCなどで大活躍していたとはいえ、生産台数が限られる高価なエボリューションモデルに限られていた時代、いちはやく誰でも買える安価な4WDターボをラインナップしたのがファミリアです。
それまでもアメリカのAMC イーグルなどSUVやクロスオーバー的な車種のフルタイム4WD車はありましたが、「4WDターボのスポーツモデル」を当たり前にした功績は大きいでしょう。
他にも1986年3月には、やはり当時の流行に乗ったカブリオレを追加、スポーティ&ファッショナブルなコンパクトカーとしてファミリア人気は高まりました。
ただし数少ない汚点となったのがスタイリッシュな3ドアハッチバッククーペ…のつもりで1987年1月に発売した「エチュード」で、普通に売れそうに見えるクルマとしては国産車市場屈指の大不人気車として語り継がれています。
多彩なデザインによる個性で攻めた7代目(1989年)
1989年2月、MX-5ミアータ(ユーノス ロードスター)の発表と同時期に発売された7代目ファミリアは、3ドアハッチバック車こそ5代目以降のキープコンセプトだったものの角を落として滑らかな印象の洗練されたデザインへ。
4ドアセダンは路線が異なる落ち着いたデザイン、5ドアハッチバックはなんとリトラクタブルヘッドライトを採用した4ドアクーペの「ファミリアアスティナ」(その後継がランティスクーペと思えば納得)となり、3つの異なる個性的なデザインを採用します。
さらに「オートラマ」ディーラーで販売するフォード版レーザーにはファミリアにない2ドアクーペがラインナップされ、「ユーノス」ディーラーではファミリアアスティナをユーノス100として販売…そう、マツダ5チャンネル販売時代です。
よく知られるように、マツダ5チャンネル販売体制は無惨な失敗に終わるわけですが、少なくとも7代目ファミリアそのものはアスティナも含めて駄作というわけではありません。
4WDターボも1.8リッターへ拡大したうえで、先代に引き続きマツダ323 4WDの名でWRCえ参戦しており、ライバルの2リッターターボ車に対してはパワー不足で苦戦したものの、マツダ本体の経営危機で撤退するまでは小型軽量が活きる有力マシンの1台でした。