「世帯年収1,000万円」といえば、多くの日本人が憧れるひとつの給与水準といえるだろう。

しかし、その価値観は国によっては「笑いもの」にされるかもしれない。実は、アメリカでは世帯年収1,000万円を超える年収でも「低所得層」とみなされることがある。

世帯年収約1,400万円でも低所得層?

アメリカ住宅都市開発省が行った調査の分類によると、カリフォルニア州の都市サンフランシスコに住んでいる世帯年収約1,400万円の4人家族は、「低所得層」に当てはまるという。このニュースは、2019年ごろに日本でも取り上げられた。

サンフランシスコでは世界から大企業が集まり、不動産価格を含め物価も高いため、世帯年収が1,000万円を超えていても、裕福な生活を送れるわけではないと報じられた。当時の平均的なサンフランシスコの4人家族の世帯年収は、約12万4,000ドルだ。

当時のレートでは12万4,000万ドルは日本円で約1,300万円だが、円安が当時より進んでいる現在では、日本円にすると約1,700万円となる。いかに日本の平均的な感覚と、サンフランシスコの感覚がかけ離れた状態になっているかが分かる数字だ。

ちなみに東京都総務局統計部が発表している『「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(年報) 令和3年』によると、東京都の勤労者世帯の平均月収は約73万円となっており、単純に12カ月分、つまり12倍すると、世帯年収は約870万円となる。サンフランシスコとの乖離が大きいことがよく分かる。

新興国に抜かれる日も近い?

では、この結果を我々日本人はどうとらえるべきなのか。少なくとも、平均年収が昔より現在のほうが低い日本は、今のままでは“ヤバい”ことは確かだ。

最近では新興国の首都の発展も加速しており、東南アジア諸国の首都に住む人たちの所得水準は大きく伸びている。いずれ日本を追い越すかもしれない。

もちろん、世帯年収が高いからといって、イコール幸福度が高いとは言えない。しかし、このままでは日本が衰退の一途を辿っていく可能性も低くないだろう、と筆者は思っている。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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