良い環境を作れるかは自分次第
「スペインに来て感じるのは『与えられる環境はない』ということ。もちろん他人から良い環境を与えてもらえれば最高ですけど、ほぼありません。自分自身で良い環境を作るために選択していくことが大切です。日本という国は本当に恵まれています。最低限の生活水準があって、いろいろなものが与えられています。でも、それは大人になるまでの期間。大人になったら自分自身で生きていかないといけないし、自分で現実を打開しないといけない。海外に来た場合は、よりそうです。
例えば、僕がいるカテゴリーで、ラ・リーガのようにトレーニングジムに凄く良い機械を付けてもらったりプールを付けてもらったりすることは絶対に無理です。でも、この環境で何ができるかを考えたら、自分でスポーツジムの会員になったり、プールにお金を払って通ったりすることはできます。自主練したいんだったら近くにグラウンドがあるところに家を借りて、練習が終わったあとに自主練をしに行くことはできます。今の環境を言い訳にせず、良い環境は自分自身で作ってください、全部自分自身が選んだ環境でしょと言いたいです。自分で良い環境を作ることで、目標とするサッカー選手像や目標とするプレーに少しでも近づけるはずです。
これは、多分サッカー選手に限りません。生活する上でも同じで、自分自身で環境を選ぶことが大切です。目標に決めたことから逆算して、何が必要なのかを考える。Jリーグで18年間やっていろいろな選手を見てきた中で、プロサッカー選手として相応する環境作りや行動をしなければ長くやり続けるのは難しいと感じています。せっかくサッカー選手になったのであれば1年でも長く現役としてやってほしいので、自分自身で環境作りには何が必要かを考えてほしい。僕もこの年齢になっても、自分に何が必要なのか何が正解なのかを常に考えて、トレーニングや身体のリカバリー、走り方や身体の使い方などを模索しています」
37歳となった現在も若い頃と変わらずスペインの地で常に上を目指している丹羽大輝。「プロフェッショナル」を体現する彼の旅路に今後も注目したい。