自分と向き合う大切な時間
「僕は、自分自身と向き合う時間を凄く大事にしています。今はインターネットが発展して、分からないことがあればiPhoneやiPad、パソコン1つで情報が得られる時代です。でも、何か問題があった時に調べて解決するのではなくて、自分自身で考えて答えを見つけ出すことが本当の意味での問題解決だと思っています。毎日の練習が終わったあとは裸足で20分以上ランニングをしていて、それは次の試合や明日の練習に向けての準備やリカバリー、筋トレに加えて、その日を振り返る時間でもあります。
今の問題点は何があるのか、今日の練習では何ができて何ができなかったのか、言葉の問題で何が言えなかったのかなど、1人で自分自身と向き合って毎日小さな問題を解決しています。いきなり大きな問題を解決することはできないけれど、小さな問題を少しずつ解決すると大きな問題になりません。だから、日々の小さな問題をインターネットやSNS、人の力は極力使わずにどうやったら解決できるかを考えています。多分、インターネット上にも同じような答えは書かれています。例えば何かに悩んだ時に検索すれば『悩んだ時の考え方』とか『悩んだ時の解決方法』とか出てくると思います。
でも、答えが自分に当てはまればいいけれど、おそらく書かれているのは書いた方に当てはまることです。自分自身には響かないことを勘違いして取り入れて、本当は問題を解決できていないことが多いのでは、と思っています。インターネットが悪いのではなく、上手く活用しながら最終的な問題解決や決断は自分自身のハートに問うことが大切です。
移籍の決断もそうです。いろいろな人に相談したり聞いたりするのはいいと思います。けれど、最終的に人の意見で移籍を決めてしまうと、もし移籍先で怪我しちゃったり試合に出られなかったり監督に使われなかったり、上手くいかなかった時に意見をくれた方のせいにしてしまう。自分で決断して移籍すると、移籍先で試合に出られなくても自分で納得して決めたことだから、その決断に対しては何の後悔もない。そこが凄く大きな差になると感じています。
一見同じような失敗でも、自分で決断した失敗は次へつながるんですけど、自分以外の人によって決断したものは次につながらない失敗になってしまう。僕は『悩む』ではなくて『考える』とよく言うんですけど、自問自答する作業を毎日やっています。ただ、若い頃から自問自答していたわけではなく、年齢を重ねるとともに徐々に今みたいな考え方になりました。だからこそ、若い選手に1年でも早くそういうマインドや考え方を知ってもらえれば、変化できてより成長スピードを上げられるはず。情報社会だからこそ、1人になったり携帯やパソコンを一切触らない時間を作ったりするのは大切だと思います」