核をちらつかせるプーチン

そして、そう聞こえてしまうのはウクライナ危機の当事者がロシアという核保有国だからであることが関係している。ロシアはアメリカと並ぶ核大国であり、米ロが保持する核兵器の数は全世界の90%近い。さらに、ロシアは核兵器を実際の戦闘に投じることもいとわない姿勢を示しており、今回の危機の最中でも、核兵器、又はその行使をちらつかせながら、西側諸国をけん制している。

アメリカが欧州の同盟国とともに本格的に今回の戦争に介入すれば、核攻撃の対象となりかねない。そして一旦核がロシア側から使用されれば、報復措置として西側も核で対抗せざるをえず、そこから一気に核戦争に至るという破滅的な展開に到達してしまう。そのような危険性が内在している状況だからこそ、バイデン大統領は迂闊に軍隊をウクライナに派遣するとは言えず、アメリカの参戦により人類の滅亡を招いてしまう危険があるからである。

要するにバイデン大統領が軍隊を派遣しない二つ目の要因は、彼に核戦争のリスクを侵す覚悟がないからである。