【詳細】みんなで大家さんのファンドの例を宅建士にヒアリングして解説

今回は記事作成にあたり、みんなで大家さんのファンドの例を宅建士にも共有したうえで「不動産投資」としては魅力的なのかヒアリングもしました。そのヒアリング内容を踏まえつつ、ファンドの例を紹介します。

成田空港周辺の開発プロジェクトや、周辺不動産は「宅建士から見たら魅力的なのか」を把握する参考にしてください。

【総評】満期が短期であるのは魅力!一方でREITで十分かも

筆者が話を聞いた大手不動産会社勤務のAさん(宅建士)によると、利回りの高さと満期の短さは不動産投資としては魅力的ということです。

「みんなで大家さん」は危ない?リスクを貸借対照表で読み解く&ファンドの評価は?宅建士に聞く
(画像=画像はイメージです、『オトナライフ』より 引用)

「まず一般的な不動産投資(自分で購入して所有権を得る)では、表面利回り2〜6%前後。4%ほどあれば個人的には万々歳では?と思います。その点、みんなで大家さんは6.0~7.0%という高い利回りが想定されている点は注目点です。極めて高い利回りですし、満期が短期であるのも魅力的です」

加えて不動産投資ではありながら、流動性リスクが限りなくゼロに近い点もメリットとのこと。

「不動産投資には流動性リスクがつきものです。不動産を処分したいと思っても、そう簡単には売却できないためです。その点、不動産投資としては少額から投資でき、流動性リスクも限りなく低いという点も魅力でしょう。」

ただしこうしたメリットは「REIT(不動産投資信託)」にもあり、必ずしも「みんなで大家さん」だけが突出して優れた商品とは言えないとのことです。

「不動産投資の流動性リスクを解消した投資商品には、REIT(不動産投資信託)が挙げられます。REITの利回りはおおよそ2〜6%ほどです。REITもみんなで大家さんも、実際に不動産を購入して投資するよりはリスクが小さく、初期費用も小さい点はメリットですね。するとREIT(不動産投資信託)ではなく、”みんなで大家さんに優先して投資する”としたらファンドに魅力を感じられるかが最大のポイントでしょう」

REIT(不動産投資信託)では、運用資産として「オフィスビル」などを選べるほか「住居+オフィスビル」などの複合的な投資対象も選択可能。リスクを適度に分散できます。

「一方、みんなで大家さんのファンドは、成田16号など成田空港周辺のプロジェクトに極度に偏っている印象が強いです。よく言えば空港周辺の大型開発プロジェクトに早期から参加できるワクワク感はあります。一方で悪く言えばプロジェクトが頓挫したり失敗するリスクもあり、たとえばREITの複合型の投資商品のようなリスク分散はやりづらいと感じます。出資金は1口100万円とのことですが、同じ100万円を投資するのであれば2~6%前後のREITを購入し、適度にリスク分散しながら手堅く投資する方が安全性は高いと思いますね」

そのため「もちろん成田関連のプロジェクトには魅力もありますが、少額から始められる不動産投資に興味をお持ちの方は、REIT(不動産投資信託)なども幅広くチェックすることをおすすめします」とのことでした。

「成田16号」

「みんなで大家さん」は危ない?リスクを貸借対照表で読み解く&ファンドの評価は?宅建士に聞く
(画像=「成田16号」は、不動産開発事業「成田空港周辺プロジェクト」のひとつとして販売されているファンドのひとつ。営業者が所有している土地を賃貸し、得られた賃料を事業参加者に分配します。成田国際空港の発展や社会貢献に関与できるプロジェクトです(画像はみんなで大家さん公式サイトより引用)、『オトナライフ』より 引用)

日本ゲートウェイ成田(シリーズ成田15号)

シリーズ成田15号は、みんなで大家さんで販売されていたファンドのひとつ。

「みんなで大家さん」は危ない?リスクを貸借対照表で読み解く&ファンドの評価は?宅建士に聞く
(画像=日本ゲートウェイ成田は、内閣府が定める「国家戦略特区」の指定区域内の再開発プロジェクトとして、2026年度末に開業予定の複合施設です。ただ、当初は2025年春のオープン予定でした。成田国際空港から車で3分、東京ドーム10個分にも相当する広大な土地に建設されており、日本ゲートウェイ成田には、ホテル、ショッピングセンター、コンベンションホール、アートギャラリー、国際展示場、商業ゾーンなどが建設される予定です、『オトナライフ』より 引用)

(画像引用元:日本ゲートウェイ成田公式サイト)

日本ゲートウェイ成田は「成田空港周辺開発プロジェクト用地」にて建設予定。都市綜研インベストファンド株式会社のグループ会社である「共生バンクグループ株式会社」が開発を手掛けています。先に紹介した「成田16号」など、シリーズ成田はいずれも日本ゲートウェイ成田に関連するものであり、現在多数のシリーズが販売されています。同プロジェクトに魅力を感じられるかどうかも「みんなで大家さん」で投資をするべきかの重要な指標の1つとなるでしょう。

【その他】みんなで大家さんファーム

みんなで大家さんは成田16号・15号のような不動産に直接的に関するもの以外にも、農業に関する「みんなで大家さんファーム」というファンドも運用しています。

「みんなで大家さん」は危ない?リスクを貸借対照表で読み解く&ファンドの評価は?宅建士に聞く
(画像=みんなで大家さんファーム1号では、対象不動産を農業法人に賃貸し、そこでバナナを栽培。賃貸利益を事業参加者(出資者)へ分配しています。現在「みんなで大家さんファーム」シリーズは、1~3号は満期を迎えていますが、ファーム4~6号は運用中です、『オトナライフ』より 引用)

みんなで大家さんのデメリット

バランスシートの内容から「みんなで大家さん」の現状や利用する際に検討すべきポイントを理解できた方もいるのでは。ここからは「みんなで大家さんは危ない」と言われる理由にもなっている、その他のデメリットについて解説します。

デメリット:最低投資金額100万円~

一般的な不動産投資よりも初期投資金が少ないとはいえ、最低投資金額が100万円なのでハードルが高いと感じる人もいます。

デメリット:行政処分の過去

実は、みんなで大家さんの営業者である「都市綜研インベストファンド株式会社」は2013年(平成25年)に資産過大計上を理由に行政処分を受けています。ただ、その後サービスを再開させて10年以上、元本割れを起こすことなくサービスを続けています。

デメリット:元本は保証されない

前述したように過去に元本割れしたことはありませんが、元本が保証されているわけではありません。リスクのない資産運用をしたい人には手が出しづらいでしょう。

デメリット:一時的な債務超過になったことがある

債務超過とは、資産をすべて売却しても負債を返済できず倒産のリスクがある状態のこと。「みんなで大家さん」の場合は、2013年頃に一部上場企業の会計基準を求められたことが影響し、債務超過に見えたことがあります。

デメリット:利回りが高すぎるとみられやすい

何度も説明したように、みんなで大家さんは6.0~7.0%とかなりの高利回り。そのため、本当に配当金の支払ができるのかと不安を抱く事業参加者(出資者)も多いようです。