具体的な実釣テスト方法
実釣テスト2と同様で、3投ごとにハリス止めから下の2本バリの部分をAからCに交換し、釣果をすべて記録した。また、釣れてくるハゼのサイズも大まかではあるが調べた。
釣れてくるハゼのサイズは、第3ラウンド>第2ラウンド>第1ラウンドの順に大きかった。
針の形で釣果に差が出た
同じ赤い色のハリで、袖型(短軸)と赤ハゼ(長軸)の実釣比較テストを実施した結果、次のようなことがわかった。
・長軸の赤ハゼバリの方が、ハゼの匹数の面でやや優勢であった。
・赤ハゼバリの仕掛けでは、2点掛けがあった。また、良型がくる傾向が見られた。
赤ハゼバリは、ハゼ用として市販されているハリである。ハゼがエサを食う時の習性なども考え、メーカーでも繰り返し実釣テストをされていると思う。特に、今回のテストの第2ラウンドでは、赤袖のハリに対してダブルスコアの差をつけた。
袖バリの方は、主に淡水での汎用のハリである。短軸なので、一般的な考え方からすれば吸い込みはいいと考えられるが、今回のテストでは、赤袖バリの場合、アタリがあっても素バリを引くことが多かった。
しかし、小型のハゼが多かった第1ラウンドでは赤ハゼバリよりもハゼの数で上回っているなど、ハゼ釣りに適したハリであることは間違いないと思う。
なぜ長軸の赤ハゼバリが釣果で上回ったのか
長軸の赤ハゼバリが釣果で上回った原因について、さらに突っ込んで考えてみた。一つは、私自身の釣り方の癖があると思う。
私は投げ釣りの発想からハゼのミャク釣りに入ったので、魚信に対して強めに糸を張って竿を少し起こすだけの、どちらかと言えば向こう合わせの釣り方である。
これは素バリを引いてしまった時に魚を散らさない様にするためであるが、袖型のハリはどちらかというと「合わせて掛ける」釣りに使われることが多いのではないだろうか。
オイカワのウキ釣りなどはその例であると思う。ちなみに今回の実釣テスト中もそのことが気になったので、あえて数回、アタリ即合わせの釣り方をしてみたところ、袖バリはしっかりとハゼをハリがかりさせることができた。
したがって、前触れのアタリも拾って積極的に合わせていくタイプのアングラーが袖バリを選択したら、また違った結果になった可能性がある。
一方で、赤ハゼバリはどちらかというと向こう合わせの釣りに向いていて、陸っぱりからの落ちハゼのチョイ投げにも好適な、オールマイティーなハリといえそうである。
テスト時期の違いも関係している?
今回の実験の結果は、テストの時期とハゼへのアピール度に違いも影響があると思う。同じ袖バリでハリの色のテストをしたのは8月下旬であるが、ハリの形のテストは10月中旬である。
このころになるとハゼもかなり大きくなっているので、エサを大きく見せるという意味では、ふところの大きさが同じなら長軸バリの方が有利なことはいうまでもない。
今回、スタートの第1ラウンドに比べ、第2、第3ラウンドのポイントではハゼのサイズが明らかに大きかったことから、アピール力という点では、長軸である赤ハゼバリの良さが発揮されたものと思われる。
ハゼの「見釣り」を体験した方ならお分かりいただけると思うが、魚影が濃いときなど、仕掛けを少し動かすと、仕掛けの動きにつられて数匹のハゼが仕掛けを追ってくるのを見られる。
このことからハゼは主に視覚に頼ってエサを追うのだと考えられる(当然、エサの匂いなど嗅覚や味覚も活用しているであろう)。また、今回の実釣テストで終盤(日暮れごろ)に当日最長寸のハゼが赤ハゼバリにきたことも、長軸バリのアピール力の高さが効いていたのだと考えていい。