多彩な目的に対応するスフィアコンセプトの集大成「アクティブスフィア(activesphere)」
2023年1月26日に発表された「アクティブスフィア」はアウディ伝統の「クアトロ(quattro):四輪駆動システム)」を備えたとてもユニークなクルマで、Audi Sportbackのエレガントなスタイル、SUVの実用性、オフロード性能を巧みに組み合わせた、まったく新しいタイプのクロスオーバークーペとしてデザインされたとのことです。
多彩な目的に対応するボディデザイン、オフロードでの優れた走破性、スイッチひとつでオープンカーゴベッドに変化させることができる特徴を持ち、電動自転車の積載も可能です。
「Audi Dimension」と言われるハイテクヘッドセット(VRと現実世界の両方が表示できる)を中心としたシステムは、ナビなどの運転に必要なものと同時に3Dコンテンツとインタラクティブな要素も複合的に表示できるといった機能を実現しています。
他のスフィアコンセプト同様にインテリアに焦点がおかれていて、ユーザーがジェスチャーで各機能を直感的に操作することも可能です。
アウディが進める自動車製造の近未来化「EC4P(Edge Cloud 4 Production:エッジクラウド4プロダクション)」
アウディの近未来化は「スフィアコンセプト」だけに留まらず、自動車製造の分野においても着々と進められ、新しい製造サポート手法のローカルサーバーソリューションとして2022年7月からベーリンガーホフの工場で導入に向けて検証が行われてきた「EC4P」が2023年7月に初めて導入されました。
「EC4P」とは、アウディが開発したクラウド活用型のITソリューションで、これまで分散利用されてきた産業用コンピューターを置き換える画期的システムです。
具体的には自動車製造の現場において分散利用されてきたコンピューターについて、ITネットワークを介してコンピューターを利用するクラウド活用型システムへと置き換えることです。
分散利用される産業用コンピューターではメンテナンスや改善といったいわゆるバージョンアップやAIの導入といった際には個々にそれらを実装していく必要があるので、各種計画や事前調整を実施した上で段階的に進めるため多くの手間や時間、コストが嵩むといった課題が生じてしまうのですが、クラウド活用型のITソリューション「EC4P」では一度に合理的に生産サポート性能や範囲、利便性や速度、信頼性などといった水準を高めることができます。
一方でクラウドに障害が発生した際には同時に全てのコンピューター端末に影響が生じるといったリスクがあるのですが、現代のIT技術においては強固で幾重にも準備されたリスク回避策によって万全の仕組みが構築されているものと想定されます。
「EC4P」が先行導入されているベーリンガーホフ拠点では「e-tron GT quattro / RS e-tron GT」と「R8」といった2つの生産サイクルにおいて作業者のサポートシステムが既に稼働しており、将来的にはソフトウェア制御によって柔軟に機能の拡張や改善が可能な「EC4P」サーバーソリューションが、従来の分散利用されてきたコンピューターに取って代わることが予定され、さらにはAudi Production Lab(P-Lab:アウディの次世代生産方式)の他のケースでも「EC4P」の採用を拡大していくとのことです。