自己破産のメリット

とはいえ、自己破産は借金に苦しんでいる人にとって大きなメリットもあります。

メリット1:すべての借金の支払い義務が無くなる

各種税金や損害賠償、養育費などの「非免責債権」を除いて、基本的に自分が抱えているすべての借金の支払い義務がなくなります。破産手続きと免責手続きは、借金を帳消しにするための手段としてはやはり確実性が高いものの1つと言えるでしょう。

メリット2:財産を「すべて失う」訳ではない

繰り返しになりますが、99万円以下の現金など「自由財産」や生活に最低限必要と認められるものは手元に残すことができます。財産を「すべて失う」わけではないため、自己破産後に生活を再建していくことも十分に可能です。

自己破産後の「生活への影響」は?

自己破産をするとその後の生活にどのような影響が出るのでしょうか?

【完全ガイド】自己破産のデメリットとは?破産後の「財産」「生活」はどう変わる?
先述した通り、自己破産しても99万円以下の現金や生活必需品は所持でき、仕事が制限されるのも破産手続きの間だけです。破産手続きが終われば、旅行に行ったり保険に加入したりできます。なお、自己破産できる回数に制限はありませんが、原則として前回の自己破産から7年経っていることが条件です(画像=『オトナライフ』より 引用)

生活への影響:家族との関係や日常生活はどう変わる?

官報には破産した当人の氏名は掲載されますが、家族の情報が載ることはありません。また、自己破産すると「持ち家」は失ってしまいますが、引っ越しをして賃貸物件を借りることもできます。99万円以下の現金や生活必需品も所持できるため、「生活を再建していく」という強い意志があれば、家族との関係を保ったうえで生活の立て直しは十分可能です。

就職・転職への影響は?

破産手続き中は士業など一部の職に制限が発生しますが、自己破産が成立した後には特に制限はありません。手続き中であっても資格取得はでき、就職・転職のほか、起業なども可能です。ただし官報に名前が掲載された事実は残ります。転職する場合、金融事故の過去について面接官から質問がされた場合に備えて、事前に回答を考えておきましょう。

自己破産した人でも「結婚」は可能?

もちろん、可能です。ただし、自己破産から5年~10年が経過していない場合は「ローンが通らない」「クレジットカードの利用ができない」など私生活で不便を感じるケースがあるでしょう。この点は、結婚相手からすれば「その人と結婚するデメリット」になります。恋人に対して、事前に「自己破産の過去」「生活を立て直す気持ちの強さ」をしっかりと伝えておくことをおすすめします。

自己破産しても年金は受け取れる?

年金は破産手続きの中で「自由財産」に位置付けられるため、国民年金や厚生年金は自己破産後も受け取り可能です。ただし民間の保険会社で積み立てている私的年金の場合、20万円を超える解約返戻金がある場合は没収の対象となるため注意してください。