用地の取得に苦戦するデベロッパーが大半
今後の市場の見通しについて、土地の仕入れ状況を聞くと、マンションでは「ほぼ計画通り」が14%で、「苦戦している」が86%と、必ずしも順調ではないとするデベロッパーが大半でした。その要因としては、「用地価格が検討可能水準以上に高騰しているため」「用地情報が少ないため」などが挙がっています。戸建住宅についてはもっと厳しく、「ほぼ計画通り」とするデベロッパーはゼロで、「苦戦している」が100%でした。その要因はマンションとほぼ同様です。
つまり、今後はマンションにしろ、戸建住宅にしろ、新規の販売戸数の増加を期待しにくいわけで、物件数の減少が懸念されます。特に人気エリアではマンションや戸建住宅の分譲が極端に減少、希少性が高まり、その結果、価格がますます上がるという、消費者からみれば、負のスパイラルが強まりそうな予感のする調査結果といっていいのではないでしょうか。
今後の市場については懸念材料が目白押し?
今後の市場の懸念材料を聞いたところ、マンションでは「資材価格・労務費の上昇」「金利水準の動向」「用地費の上昇」などが上位に挙がり、戸建住宅では「消費者の購入意欲低下」「用地費の上昇」「資材価格・労務費の上昇」などが挙がっています。どちらも懸念材料が多いのですが、戸建住宅についてはマンションに比べて消費者の購入意欲の低下を挙げるデベロッパーが多い点が注目されます。ライフスタイルの変化などによって、戸建住宅からマンションへのシフトがますます進むのではないかと考えるデベロッパーが多いのではないでしょうか。加えて、先に触れたようにマンション購入層と戸建住宅購入層では、年収に大きな違いがあることが、購買力に関係しているとみるデベロッパーが多いのかもしれません。
いずれにしても、そうした懸念材料が、1年後のマンション価格は1割程度上がるものの、戸建住宅については下がる見通しもあるといった具合に、価格見通しの違いにも反映されているのでしょう。今後のマイホームの購入を考える上では、こうした価格動向も念頭に置きながら検討を進めるのがいいでしょう。
(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)
提供元・Business Journal
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