戸建住宅の高額物件は1年後には下落見通し
マンションは1年後も1割近く上がるだろうというご託宣ですが、それに対して、戸建住宅(建売住宅)の市況はやや弱含みのようです。先の図表1をご覧ください。23年7月末を100とすると、1年前は6000万円以上の戸建住宅が100.8、6000万円未満が98.6です。マンションに比べると、戸建住宅は1年前と比べて、6000万円未満では若干上がっていることになりますが、それもわずかな上昇にとどまっていて、全般的にみれば価格水準に大きな動きはないとするデベロッパーが多いようです。1年後の予想に関しては、6000万円以上の戸建住宅が96.0、6000万円未満が100.4となっています。戸建住宅のなかでも6000万円未満の物件については、1年後の2024年もほとんど変わりはないだろうということですが、6000万円以上の高額価格帯については96.0ですから、若干下がるだろうとするデベロッパーが多いわけです。
マンションと戸建住宅では購入層が異なる?
マンション、戸建住宅にかかわらず、土地の取得費は高騰しており、建築資材や人件費も上がり続けています。ですから、販売に当たってはそうした原価アップを価格に転嫁したいところですが、マンションについては、価格転嫁して価格を上げてもある程度まで消費者はついてくるだろうと判断するデベロッパーが多いものの、戸建住宅については必ずしもそうではないようです。なぜなのでしょうか。
国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、マンションと戸建住宅では購入層が大きく異なります。購入した物件形態別に平均年収をみると、新築マンションは960万円に対して、建売住宅は750万円です。平均年収には200万円以上の差があり、それが購買力に反映され、戸建住宅では高額になるとついていけなくなる消費者が多いのではないかという判断につながるのでしょう。このようにマンションと戸建住宅によって見通しがかなり異なっているので、マンションか戸建住宅かと迷っている人は、こうした価格見通しを参考にしてはどうでしょうか。