日本と同じモノサシで見てはいけない
日本の企業が労組に反対すると大問題になりそうだ。だがアマゾンに関しては日本と同じように捉えてはいけないと小久保氏はいう。件の労組が要求しているのは最低賃金18ドルから30ドルという大幅な引き上げであり、30ドルは4000円以上にもなる。10円単位で最低賃金の引き上げを求める日本とは事情が大きく異なる。そのうえでアマゾンは福利厚生の拡充によって労組結成を阻止しようとする取り組みも行ってきた。
「アマゾンは反対票を投じそうな労働者に限定してキャリアアップコースを低額または無料で提供する施策を行いました。キャリアップコースではプログラミングを教えるコースなどを提供しているようです。こうした施策が労働者の不満を抑え、反対票につながったとも考えられます」(同)
こうした背景を考慮すると、アマゾンの労組結成をめぐる争いは単純な「強者vs.弱者」の構図ではないのかもしれない。「経営の自由度」を維持したいアマゾンと、取り分をできるだけ大きくしたい労働者側の争いは今後も続くことだろう。なおアマゾンはAIやロボットを積極的に活用し、物流施設におけるコストカットや労災対策を進めてきたと小久保氏は言う。将来的には労組結成を提唱する者がいなくなってしまうかもしれない。
(文=山口伸/ライター、協力=小久保重信/ニューズフロントLLPパートナー)
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