労組を信用しないアメリカの労働者
一方で労働者側も一枚岩ではないようだ。結成の可否を問う選挙の結果を見ると意外にも反対票が多い。初の労組結成に至ったニューヨーク州の選挙でも賛成票2654票に対し、反対票2131票と差は大きくない。
「もともとアメリカで労組は普及しておらず、労組の組織率を比較すると日本が16.5%(2022年6月時点)であるのに対し、アメリカは10%程度しかありません。アメリカでは個別交渉が基本で、決裂すれば従業員は他の会社に移ります。労働者が労組を信用していないのです。また、労組自体もアメリカでは主に製造業で組織されてきました。アメリカの産業形態が製造業からサービス業へと移行したことも、国全体として労組結成が起きづらい環境要因の一つといえます」(同)
日本の大企業では入社と同時に労組に入るのが一般的だが、アメリカでは異なるようだ。そもそも組織率が低ければ、日本の労働者のように皆が入っているから自分も入ろうとする心理も働かないのだろう。