こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。
あなたは日本酒、お好きですか? 私は大好きです。
お好きだとしたら、どんな日本酒が好みですか?
先日、栃木県にある4つの酒蔵を巡る旅をしてきました。
栃木県の日本酒と聞いて、どんなイメージをお持ちでしょうか。
この記事では、栃木の日本酒の特徴、4つの酒蔵それぞれの特徴、実際に飲んだお酒がどんな味だったのかをお伝えしたいと思います。
栃木県の日本酒、想像以上にレベル高かった! 侮れないですよ~。
これを機会に栃木の日本酒、どうぞお見知りおきを!
目次
栃木県の日本酒の特徴とは
酒蔵訪問その1:純米酒率90%の蔵・渡邊佐平商店(日光市今市)
栃木県の日本酒の特徴とは
日本酒で有名な土地といえば、新潟、京都(伏見)、兵庫(灘)、西条(広島)などが挙がるでしょう。
最近では、秋田、山形、福島、三重なども日本酒の美味しい県として全国的に有名になってきたように思います。
しかし栃木県の日本酒というと、これという銘柄がぱっと浮かびません(失礼!)。
全国的には栃木県の日本酒はまだまだ有名とは言えないのではないでしょうか。
今回、4つの酒蔵を巡り、実際に飲んでみて感じたことは「栃木県の日本酒は凄かった!」ということです。
飲み口すっきり、軽やかできれいなお酒。重くないけれどコクはしっかり感じられる日本酒が多かったです。
(もちろん、銘柄や作り方によって味はガラッと変わりますので、あくまでも私が全体的に感じた印象です)
上記のように感じた要因は、「水」「米」「造り」だと思います。
水
日光連山や那須岳を抱く自然豊かな栃木県は、山から生み出される豊かな伏流水から日本酒を醸します。酒蔵内に井戸水が湧いている蔵も多いです。
栃木の水は軟水が多いため、すっきり軽く、甘みや旨みを含んだ柔らかいお酒が出来ます。
米
栃木は日本有数の米どころです。車で栃木を走るとそれがよくわかります。
関東平野の北限を占め、平らで広~い田畑を遠くまで見渡すことができます。
造り
栃木県には大きな酒蔵は少ないように思います。今回巡った酒蔵も1000石以下の小さな蔵が多く、酒造り行程の多くを昔ながらの手作業で行っているところが多かったです。小さな蔵で流通量もそこまで多くないという背景も、全国的知名度が大きくない理由のひとつかもしれません。
杜氏も蔵元も若い人が多く、伝統を受け継ぎつつ、新しいことにも積極的に挑戦しているという印象を受けました。
栃木は日本酒を造る季節である冬、寒さが厳しい地域で、温度管理がとても重要な日本酒造りに適した土地といえるでしょう。
それでは、今回訪れた酒蔵をひとつづつご紹介してまいりましょう。
酒蔵訪問その1:純米酒率90%の蔵・渡邊佐平商店(日光市今市)
日光市今市の街の中心にあり、道の駅など賑やかな通り沿いにある渡邊佐平商店。
天保13年(1842年)の創業。約180年の歴史を誇る老舗酒蔵です。
渡邊佐平商店の特徴は、純米酒醸造率が栃木県でもNO.1クラスであるということです(醸す日本酒の90%が純米酒)。
渡邊佐平商店の主力銘柄は清開(せいかい)、日光誉(にっこうほまれ)です。
店内に入ったすぐのところにあるお勘定場。昔のドラマに出てきそうな、木造で落ち着いた歴史を感じさせる店内です。
酒蔵の前には杉玉(※)が吊ってありました。
※杉玉:その年初めの酒を絞る時期に蔵に吊るす、杉の穂先を集めてボール状にしたもの。「今年の新酒が出来ましたよ」と知らせる意味を持っています。
こちらが渡邊佐平商店 7代目社長の渡邊 康浩さんです。今、栃木の蔵元さんは若い方が多いです。
渡邊佐平商店の日本酒の特徴は「純米醸」。
造っているお酒の90%がお米と麹だけから成るのが純米酒です。
日本酒造りは温度管理がとても重要で、10度以下に温度を保っておかないと良い日本酒は造れないそうです。冬の寒さが厳しい栃木の気候は日本酒造りに向いているようです。
渡邊佐平商店は、鑑評会で数々の金賞を受賞しています。
今回、渡邊佐平商店で試飲したのがこちらの7種類です。
私は日本酒ソムリエではありませんので専門的な日本酒解説はできません。あくまで私個人が飲んで感じた印象を記します。併記したそれぞれのお酒に合うつまみは渡邊社長おすすめのものです。
- 日光誉 純米吟醸:オールマイティで日本酒入門者向け。すっきり軽く飲みやすい
- 清開 純米大吟醸:一年寝かせてこなれたまろやかでバランスの良い味。煮魚やマグロの刺身、クリームチーズなどに合う
- 生酛純米 尊徳:酒米「とちぎ酒14」を使用。生酛造りでありながら、すっきりした口当たりできれいなお酒。濃いめの味のつまみに合う
- 山廃純米 尊徳:山廃はワイルドなイメージですが、そこまで重くなく飲みやすい。鍋物や焼き鳥に合う
- 清開 にごり酒:フレッシュでシュワシュワ感あるジューシーな酒。イチゴに合う
- きざけ清開 しぼりたて:きざけとは生酒(純米原酒)という意味。無濾過生原酒。しっかりした味。魚の照焼、洋食、燻製チーズなどにも合う
- きざけ日光誉:冷や良し、ぬる燗良しの純米原酒。ゆば刺、白身の刺身と合う
日本酒は、食べ物と合わせて相乗効果でお互いの旨みが増すというお酒です。日本酒を飲む時は、おつまみにもこだわって飲みたいですね。
いかにも酒蔵という佇まいです。酒蔵には法被(はっぴ)がよく似合いますね。
今市は、華厳の滝から流れる大谷川(だいやがわ)の扇状地に位置し、良質な地下水が流れています。
渡邊佐平商店の酒蔵の前には井戸水を流しており、来訪者は自由に飲むことができます。飲んでみると、確かにまろやかで柔らかい、まさに軟水でした。
酒蔵の玄関を背にして見た風景です。社や季節の木々が世界を作っています。駐車場からここまでの路が日本酒の世界へ誘う儀式のように感じました。