■アメリカの関与
アフガニスタン戦争の後、米軍の駐留下で、新しい国作りが始まった。ところが、そうして誕生した政権では、汚職が絶えず、政治も行政も十全には機能しなかった。そして、国民の不満は高まり、外国支配からの脱却を訴えるタリバンの主張に耳を傾ける者も増えたのである。
米軍は、当初わずか9千人の兵士を配置したのみで、それでは占領行政がうまくいくはずがなかった。2003年にはイラク戦争が始まり、米軍はそちらに勢力を集中させた。その間もアフガニスタン政府の腐敗は拡大し、国民は反発し、タリバン復権への道を開いたのである。
米軍の駐留は、アフガニスタンに統治能力のある政府を育てるには至らなかった。そして、20年間に及ぶ駐留の末、2021年8月15日に撤退したのである。アメリカに協力したアフガニスタン人など約12万人がアフガニスタンから脱出する悲劇となった。
シリアでもアフガニスタンでも、米軍はもっと駐留すべきであったのではないか。中東でアメリカのプレゼンスが低下した隙に、ロシアや中国が影響力を拡大しようとしている。