2022年は売出と取引価格の乖離率が拡大傾向

価格乖離率というのは、売出価格と実際の取引価格にどれくらいの差があるのかを意味しています。乖離率が小さいほど値引きが少なく、売出価格や売出価格に近い価格で契約が成立することを意味し、乖離率が大きくなると、大幅な値引きをしないと契約が成立しない環境であることを示しています。

その価格乖離率、2020年には上期が-7.15%で、下期は-6.05%でした。つまり、売出価格から6、7%低い水準で取引が成立していたことになります。けっこうな値引きが必要だったわけです。それが、2021年には上期-4.63%、下期-4.55%と、乖離率が4%台まで縮小しました。6、7%の値引きが必要だったのが、4%ほどですむようになったのです。しかし、2022年には上期は-4.85%と何とか4%台を維持したものの、下期には-5.58%と5%台まで拡大しました。5%以上の値引きが必要な環境になっており、2021年に比べるとかなり売りにくくなっていることを示しています。

3カ月以内に成約できる値付けが不可欠

このように、成約に至るまでの期間が長期化し、価格乖離率が拡大する傾向が強まっているだけに、安易に売却を考えると失敗しかねません。適切な値付けを行って、適切な時期に市場に出すことが大切になっているといっていいでしょう。中古マンション価格が上がり続けているからと、強気一辺倒の値付けでは、購入希望者から見向きされず、中古市場で野ざらしになりかねません。いったん売りに出してなかなかお客がつかないと、「不人気物件」の烙印をはられ、「何か問題があるのではないか」といった勘繰りをされることになりかねず、大幅な値引きが必要になることが多いのです。適切な値付けで、短期間、できれば3カ月以内に契約が成立するような価格設定が大切です。

と同時に、お客が付きやすい時期を選ぶことも重要です。梅雨時や真夏の熱い時期、また動きが鈍る寒い時期はどうしても購入希望者が少なくなります。できれば、春先の人の動きが活発になる時期などを狙って市場に出すのがいいかもしれません。