中古マンション価格が上がり続けており、売却にはこれ以上ない環境のように見えますが、いくら恵まれた環境とはいえ、値付けを間違うとなかなか買い手がつかず、仲介市場で野ざらしになってしまうことがあります。いったん野ざらし状態になると、購入希望者が現れず、大幅な値下げが必要になり、それでもなかなか買い手がつかないといった事態になりかねないので注意が必要です。
2021年には売出から成約までの期間が短縮
中古マンション価格の上昇が続いているので、いつでも売却希望価格で売れるのではないかと考えがちですが、実はそうとも限りません。市場の変化を予感させるようなデータがあるのです。図表1は、民間調査機関の東京カンテイが中古マンションの売出から成約に至るまでの期間と、売出価格と実際に取引された価格との価格乖離率を調べたデータです。まず、売出から取引成立に至るまでの期間をみると、2020年には上期が4.18カ月で、下期が4.15カ月、2021年は上期が3.29カ月、下期が2.89カ月と売れるまでの期間が短縮されました。グラフをみれば分かるように、売却までに4カ月前後かかる時期が長かったのが、2021年には2カ月台まで短縮されました。それだけ中古マンションの人気が高まり、購入希望者が増加、短期間で売れるようになってきたわけです。

首都圏 2022年下期の価格乖離率は-5.58%、4期ぶりに5%台へ (kantei.ne.jp)
売出から成約までの期間が長期化しつつある
しかし、2022年に入ると若干様相が変化してきました。2022年上期は成約に至るまでの期間が3.11カ月と、2021年下期の2カ月台から3カ月台に伸び、さらに2022年下期は3.22カ月とわずかとはいえもう少し長期化しています。2022年上期、下期と2期連続で成約に至るまでの期間が長くなっているのです。もちろん、2010年代の前半のように4カ月前後かかっていた時期に比べると、まだまだ短期間で売れる環境であるのは変わりませんが、それでも売りに出せば、すぐにでも購入希望者が現れて成約できる――そういう環境ではなくなりつつあるのかもしれません。適切な値付けで、適切な時期に売りに出さないと、すぐには買主が見つからない、そんな環境に変わりあるようです。それに、いまひとつ価格乖離率も仲介市場の環境変化を示しています。