2023年7月1日から道路交通法が改正され、「特定小型原動機付自転車」が新たに設けらた。
巷では従来の原付の法律が変わったように捉えられている節もあるが、新しいカテゴリーが加わったという解釈が正しい

この新しいカテゴリーに対応するモビリティが『電動キックボード』だ。
特定小型原動機付自転車に分類される電動キックボードは、16歳以上であれば運転免許不要、ヘルメットの着用は努力義務となっている。具体的には、以下の条件を満たす電動キックボードが特定小型原動機付自転車に分類される。

・最高速度が時速20km以下
・排気量が0.66cc以下
・車両重量が20kg以下
・特定小型原動機付自転車は、原動機付自転車と同様に、自賠責保険の加入とナンバープレートの装着が義務付けられる。

この改正は、電動キックボードの普及拡大を図り、新たなモビリティの選択肢を増やすことが目的だ。

なぜ新たなモビリティの選択肢が必要なのか?

それは2019年2月に国土交通省が交付した新たな排出ガス規制(「令和2年度排出ガス規制」)にある。
この規制は2025年11月以降に生産されたバイクから適用され、それによって小排気量、特に原付一種は存在が危ぶまれている
排出ガス規制に対応させようとすればコストがかかり、そのコスト回収のため原付一種のバイクの価格を上げざるをえない……。しかし、あまりに高額になれば日常の足として原付一種のバイクは選ばれなくなってしまう。売れないのであればメーカーもわざわざ赤字になるようなことはせず、2025年以降は原付一種のバイクは生産しない、という結論に至ってもおかしくない。

問題はその原付一種のバイクが、バイク車両保有台数の半数近くとなる45.2%を占め(出典:2021年日本自動車工業会)、今も日常の足として活躍しているということ。

この問題を解決する一つの答えが、新たなモビリティを創出すべく道交法に加わった特定小型原動機付自転車だ。

奇しくも2025年問題が生じる同年に開催される大阪万博で、『未来社会ショーケース「スマートモビリティ万博」関係者モビリティ』の公式サプライヤーとして、カスタムジャパンが開発に力を注いできた次世代モビリティ「eXs(エクス)」が採用された。

カスタムジャパンの社長・村井氏と取締役・梶岡氏に、次世代電動モビリティがなぜ必要なのか? 大阪万博で採用されたeXs(エクス)とはどのような乗り物なのか?をインタビューした。

カスタムジャパンの社長・村井氏(右)と取締役・梶岡氏(左)。
社長・村井氏は大のバイク好きでJNCCといったエンデューロレースにも参戦。村井氏の左側のライダーは全日本モトクロス選手権の元チャンピオンの新井宏彰さん。