内定取り消しと言われた場合の対処法

内定取り消しは正当な理由がないと違法行為に該当するため、受け取ったあとはすぐに返事をし、然るべき対応を取ることが大切です。万が一、内定を取り消されたあとも冷静に行動するため、対処法を知っておくと安心です。

採用内定があったことを証明する書面やメールを保存する

内定先から内定取り消しの連絡があった場合、書面やメールをまず保存しましょう。企業側の一方的な都合で判断された可能性もあり得るため、書面やメールに書かれた理由の精査が必要です。

労働基準監督署の相談窓口に相談する

内定取り消しの連絡があった場合、労働基準監督署の相談窓口に相談することも検討しましょう。労働基準監督署は各都道府県の労働基準監督署内など、全379ヵ所に設置されています。内定先から取り消し連絡があった後の行動や対応内容を案内してくれます。

参考:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

内定取り消しに関する裁判の実例

内定取り消しに関する裁判の実例としては、昭和54年にあった「大日本印刷事件」が有名です。

企業側が送った採用内定の通知を学生側が承諾し労働契約が結ばれたものの、その後一方的に企業側が学生に対して内定取り消しの連絡をしたことが事の発端とされています。学生は大学を通じて企業との交渉を行ったものの、内定取り消しを取り下げる承諾は得られませんでした。

企業側の内定取り消しの理由が、学生の印象が陰気だったという面談時に得られたはずの情報であったため、解約権の濫用として学生側が勝訴しました。

このモデルケースにより、企業側が採用内定を取り消す際には、解約権留保の趣旨目的に照らして客観的かつ合理的であることに加えて、社会通念上相当と認められる場合のみという認識が強まりました。

参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構「(6)【採用】採用内定取消」

内定取り消しを撤回してもらうためには?

内定取り消しの連絡は、もらったらすぐに理由を確認しておきましょう。返信をせずにそのまま時間が経過してしまうと、黙認したと受け取られかねません。メールではなく書面で理由を通知するように連絡します。

労働基準法の第22条「退職時等の証明」において、労働者から理由証明を要求された際、企業はこれに応じなくてはなりません。

その後、理由証明を用いて内定取り消しの撤回を求めます。話し合いで解決できない場合は、労働審判を申し立てます。労働審判とは、労働者と雇い主間の労働トラブルを適正に解決するものです。訴訟とは異なります。

労働審判でも解決に至らない場合は、最終的に裁判で争うほかありません。労働審判の結果に対して2週間以内に異議申し立てすることで、自動的に訴訟に切り替わります。

参考:労働基準法

参考:最高裁判所「労働審判手続き」