年10%金利は「1か月0.83%金利」と同じこと、そこに為替変動が直撃すると……

 1カ月で約0.83%の米ドル建て金利収入は、日本の低金利環境においてはもちろん小さくはない。とはいえ利用者にとってみれば、為替変動の大きさに比べれば微々たる収入でしかない、というのが現実だ。たとえば、このキャンペーンを利用して1万5000ドルの米ドル建て定期預金を組むとしよう。1ドル=145円で換算すると、日本円で217万5000円となる。満期である1カ月後に得られる金利は税引き後で99.61ドル。ドル建てで0.66%の金利収入が得られる。

 解約後、ドルを円に換える際には為替手数料が片道1円かかる。1カ月の間に為替変動がなかったとしても、1万5099.61ドルを1ドル=144円で円換算すると217万4343円となる。年10%の高金利をあてにしていたはずが、為替がまったく動かなかったとしても、657円のマイナスになってしまうのだ。開始以降、多少なりとも円安に振れなければ儲からないのが外貨預金という商品の宿命である。

 過去の歴史をおさらいしておこう。2022年10月21日から11月15日にかけてのわずか1カ月足らずで、ドル円レートは150.14円から137.67円へと急速に円高が進んだ。これを上の例に当てはめて、1ドル=150.14円で1万5000ドルの米ドル建て外貨定期預金を組むと、225万2100円かかる。満期後、年10%金利の1カ月分の収入から税金を引いた手取りを足して、1ドル=137.67円のレートで円転すると、為替手数料が引かれて手取りは206万3663円となる。円高が進んだ結果、差し引き18万8437円ものマイナスになっても驚けないということだ。

 そして残念なことに、1カ月後の為替レートを正確に予測できる人はこの世に存在しない。つまり、1カ月物の外貨定期預金を利用して金利収入で儲けようとするのは、実質的には、ほぼほぼ丁半バクチをしているのと変わらないと言える。