なぜ三菱UFJ銀行は年利10%という高金利を実現できるのか?
三菱UFJ銀行の「スーパー定期」1カ月物の金利は年0.002%で、同じく外貨定期預金「ホット定期」(1カ月物)の金利は年0.01%である。なぜ今、同社は通常商品の1000倍ものキャンペーン金利を提供することができるのだろうか。
米国では昨年から金利が駆け足で上昇しており、この7月末に5.25%~5.5%に達した。三菱UFJ銀行をはじめとする邦銀は、米国の短期債を購入することで、米ドル建てではほぼノーリスクで年5.5%相当の資金運用が可能。つまり10%のキャンペーン金利を提供しても、実質的に負担するコストは4.5%にとどまる。
そして肝心要のもう1点が、利用者が年10%の高金利を享受できるのは1カ月満期の定期預金に限られるということ。満期が来れば解約か、継続する場合は1カ月物米ドル建て定期預金の通常金利に切り替わることになっている。年10%の金利収入といっても、12等分して1カ月分に換算すれば約0.83%(税引き前)でしかない。通常金利との差分は0.82%で、この半分が資金運用でカバーできるとなれば、新規顧客を呼び込むための販促コストとしては穏当という構造が見えてくるだろう。