分譲時の相場より2割、3割高い物件も
それに対して、(3)の2010年代竣工の定借マンションの現在の取引価格の平均は、新築分譲時の周辺相場の83.7%となっています。借地期間が10年以上経過している物件がほとんどですが、この時期の定借マンションは借地期間60年、70年が多くなっているので、まだ50年、60年の借地期間が残っています。ですから、所有権マンションに比べて極端に価格が低下することはなく、新築分譲時の周辺価格の8割以上の評価を得ている物件が多いわけです。
人気の高い超高層マンションや人気住宅地に立地する定借マンションのなかには、新築分譲時の周辺相場より2割、3割高くなっているケースもみられます。購入時の価格が安くなっている上、売却可能価格が分譲時の相場より上がっているのですから、これはたいへんなメリットです。定借物件も将来の資産価値を考えての選択がたいへん重要になってくるようです。
所有権マンションより高く評価される物件も
最後に(4)の2020年以降の物件をみると、新築分譲時の周辺相場に対する現在の取引価格の平均値は80.2%でした。平均で80.2%ですから、所有権マンションでもその程度になっている物件は珍しくなく、定借物件といえども、さほど大きな差はありません。(3)の2010年代竣工物件と同様に、交通アクセスに恵まれ、共用施設や管理が充実したマンションのなかには、周辺相場より高く取引されている定借マンションが多数見受けられます。
ですから、定借マンションといっても、物件しだいで十分に価値が評価されるわけですが、問題はそれがいつまで続くのかという点です。定借マンションを買うのであれば、自分たちの将来のライフスタイル、ライフステージの変化などとも合わせて、住み替え時、買い換え時を考えながら購入する必要があるのではないでしょうか。
(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)
提供元・Business Journal
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