1990年代竣工物件は残り期間が20年、30年に
常識的に考えると、残り借地期間が20年になってしまい、20年間しか住めないとなれば、相場の半値でも売れないのではないかと思ってしまいますが、どうなのでしょうか。東京カンテイでは、その点も調査を行っています。特定の駅勢圏において、定借マンションが竣工した1年前後の間に供給された所有権分譲マンションと比較して、定借マンションがどれくらいで取引されているかを調べています。調査では、(1)1990年代に竣工、(2)2000年代に竣工、(3)2010年代に竣工、(4)2020年以降に竣工の4つのグループに分けて、所有権マンションと定借マンションの取引価格を調査しました。その結果、(1)の1990年代に竣工した定借マンションの取引価格は、平均で同じ年次竣工の所有権マンションの分譲時価格の69.7%となっています。つまり、分譲時相場の7割程度までダウンしているということです。
2000年代竣工の定借マンションも低くなる
1990年代には借地期間が50年の物件がほとんどでしたから、すでに20年から30年が経過し、残りの借地期間は20年程度になっている物件が多いとみられます。あと20年しか住めないわけですから、当然評価は下がり、取引価格は低下します。もちろん、例外はあります。都心の交通アクセスに恵まれたエリアにあって、ゆとりある広さを確保した物件なら、残り期間が短くなっていても、一定の評価がつくケースもありますが、それは極めてレアなケースであり、通常、取引価格はかなり低くならざるを得ないでしょう。分譲時の所有権マンションの7割程度まで下がってしまうことが多いのですが、物件の条件によってはそれ以下に下がるケースもあるでしょう。
(2)の2000年代に竣工した定借マンションでは、周辺の所有権マンションの分譲時価格の74.3%でした。この時期の借地期間は当初よりやや長くなってはいますが、それでも長くても60年です。現時点では借地期間の3分の1を消化している物件が多く、それを考慮した取引価格になっているといっていいでしょう。