食中毒のリスクゼロを可能にした方法

牡蠣の食中毒リスクを無くすためには、牡蠣を汚染しているウイルスの完全な除去方法、あるいはウイルスを殺滅する浄化方法の開発、もしくはウイルス汚染のない環境での牡蠣の飼育が必要とされてきました。

【世界初】完全陸上養殖の「あたらない牡蠣」が誕生 キモは海洋深層水 完全陸上養殖を実現(提供:株式会社ゼネラル・オイスター)

そこでゼネラル・オイスターでは、ノロウイルスの存在しない環境で牡蠣を完全陸上養殖する事業会社として、GOファームを沖縄県久米島に設立し、2014年2月より実証実験に取り組みました。

完全陸上養殖への「壁」

完全陸上養殖には「壁」がありました。

牡蠣の餌「植物プランクトン」の培養

完全にノロウイルスが存在しない海水として、海洋深層水を養殖海水に使用することにしました。

【世界初】完全陸上養殖の「あたらない牡蠣」が誕生 キモは海洋深層水植物プランクトンの培養(提供:株式会社ゼネラル・オイスター)

しかし、課題となったのは、海洋深層水には人に害を与えるウイルス・細菌が存在しない代わりに、牡蠣の餌となる微細藻類※6(植物プランクトン)も存在しないことでした。

研究機関やメーカーとの共同研究

GOファームはまず、海洋深層水の清浄性と富栄養性※7を活用した微細藻類の大量培養技術や無菌培養技術の研究を進めました。2013年、東京⼤学⽣物⽣産⼯学研究センターとの共同研究で、海洋深層⽔を活⽤した微細藻類の⼤量安定培養技術を確立しました。また、藻類の波長に応じた独自のLEDの開発もメーカーと行い、現在特許を共同出願中です。

【世界初】完全陸上養殖の「あたらない牡蠣」が誕生 キモは海洋深層水 海洋深層水を使用した養殖(作図:株式会社ゼネラル・オイスター)

※6 藻類のうち1ミリメートルから1マイクロメートルほどの大きさである植物プランクトン。微細藻類は光合成で有機物を生産して、水圏の生態系における食物連鎖の基盤を担っており、上位の栄養段階の生物に栄養を供給している。

※7 沖縄県久米島の海洋深層水の水深は612m。光も届かず、植物プランクトン等による光合成が行なわれないため、栄養塩が消費されない結果、ケイ酸態ケイ素、リン酸態リン、硝酸態窒素などが多く含まれています。

世界初!牡蠣の完全陸上養殖に成功

国内外で陸上での種苗採卵や、稚貝と呼ばれる1~3cm程度までの生育は行われていますが、その後は海域に移動し生育されています。これは、稚貝以降の成貝までの生育に必要な大量の餌となる、微細藻類の培養が困難なことが大きな要因だからです。

【世界初】完全陸上養殖の「あたらない牡蠣」が誕生 キモは海洋深層水 遊離アミノ酸分析(作図:株式会社ゼネラル・オイスター)

GOファームでは、微細藻類の大量安定培養技術、及び完全陸上で成貝まで成育させる飼育技術を確立したことにより、この度、ノロウイルスフリーの「あたらないカキ」の養殖が実現しました。

これにより、これまでリスクが高いとされていた牡蠣に、確実な安全性をもたらすことができました。※8今後、この「あたらないカキ」を「8TH SEA OYSTER 2.0」と名付けて、ブランド化を図ります。既に本技術は牡蠣の陸上養殖方法として特許を取得しています。(特許第6267810)また、海外においても台湾、中国、米国の3か国にて取得済み、1か国は出願審査中です。

※8 外部検査機関における自主ノロウイルス検査実施済