プーチンの言うICJ判決とは、09年の「コソボ独立宣言の国際法上の合法性事件」に関するものだが、我が国の外務省はこのとき、次のような趣旨の陳述書をICJに提出し、独立に賛意を示している。
コソボの独立宣言自体は事実行為であり、これを規律する国際法はないと解されること、また、コソボの分離独立については、国連を中心とする国際社会の深い継続的関与に特徴付けられた特殊性にかんがみ正当化され得るものであり、関連の国連安保理決議を含め、国際法に照らしても問題はないと考えられるとの立場を述べた。
斯くてコソボは独立を果たしたが、国連加盟は日本を含め114ヵ国が承認したもののセルビアやロシアが承認せず、未だ加盟できていない。コソボの国連加盟を認めないロシアが、ドンバス・ザポリージャ・ヘルソンの独立の根拠にコソボのICJ判例を持ち出すとは、「さすがロシア」と言うべきか。