オフィスレイアウトで“自社らしさ”を体現、カルチャーの醸成に
――オフィスにいるだけで、目や耳から自然と情報を得られることは結構ありますよね。
はい。でもそれは、オフィスのレイアウトによっても大きく変わると思います。意図が反映されてない空間だと、本当はもっとこういうことができたらいいのになと思うことを邪魔してしまうこともある。本当はもっと喋りたいのに、会社のムードがすごく静かだから喋れないとか。
たとえば立ったまま会話できるスタンドテーブルがあろうがなかろうが、仕事はできると思うんです。でも、スタンドテーブルがあることでオフィスが「気軽に喋りやすい空間」になったりする。それが何%事業収益に影響があるのかというと計り知れないですが、事業って日々の積み重ねじゃないですか。売上を積み上げるためにも、結局日常がしっかりドライブしていないといけない。その点で、意思が反映されているオフィスというのは、企業の成長に必ず影響すると思っています。
――具体的にはどういったかたちでオフィスのレイアウトに反映するのでしょうか。

ヒトカラメディアのキッチンスペース。食事だけでなく仕事をする姿も
たとえば当社では、オフィスのへそになる場所に対面で会話できるキッチンがあります。近くにはホワイトボードや掲示板があったり、そういった場所での会話からミッションやビジョンに向かっていく会社のカルチャーが醸成されているように思います。

靴を脱いでリラックスしながら打合せができる小上がりスペース
また、非同期コミュニケーションと言いますが、社員それぞれがオフィスに来るタイミングで自然と情報をキャッチできる施策も行っています。当社ではそれを壁を使ってやっているのですが、オフィスや当社が運営するワークプレイスのある下北沢のマップを壁に大きく作って、街や物件の情報が見えるようにしていたり。ショップカードをもらってきてどんどん貼って更新していくといった活用がされています。

壁を活用した下北沢のMAP
あとは本棚に新しい本が増えていくとか、提案資料の一部を執務スペースの掲示板に貼り付けて、社内メンバーが自由に見てお互い学べるようになっているとか。オフィスにある情報が更新されていると感じられるのは、オフラインの大きな魅力の一つになると思います。
他の事業部がどんな仕事やミーティングをしてるのかを、意識的にキャッチしないと知ることができないのが一般的だと思うんですが、当社では何となく目に入ってしまう環境を作り、試行錯誤をシェアすることは良いこと!と共通認識にしています。これは組織文化によって何が合うか考える必要がありますが、ヒトカラメディアでは会社の姿勢として「それは良いアクションとして賞賛に値します」とオフィスで体現していて、会社のカルチャーを伝播していくことにつながっていると思います。
――オフィスのレイアウトは、“自社らしさ”という企業文化の醸成にもつながるのですね。
まさにそうだと思うんですよね。ご相談をいただく方の中には、もともとマンションの一室をオフィスにしているところからはじまり、増床したり、リモートも併用しながら、移転で初めてメンバーが集まれるオフィスを持ちますっていう方もいますので、「これから採用を増やしていくにあたって自分たちらしさをオフィスで出していきたい」というご相談も多いです。
そのために、まずは具体的にどんなコミュニケーションが増えることが会社にとってプラスに働くのか、目指す状況からのブレイクダウンが重要だと思っています。