■ 水素燃焼エンジンを開発

自動車の動力源として、水素は燃料電池だけでなく、気体の水素を燃焼させるエンジンとしても活用できる。水素エンジンは、長距離輸送、建設や農業機械といった特に積載量が多く、長時間走行する大型車両に最適とされている。

また、すでに存在する内燃エンジンとパワートレインのシステムコンポーネントの多くは、水素エンジンの燃料、吸気、排気システムの基本構造に応用可能できるのだ。

ボッシュ 水素関連ソリューションで水素社会に対応する技術・製品・成果を発表
(画像=水素エンジン用のインジェクター、『AUTO PROVE』より引用)

ボッシュは水素エンジン用に、水素のポート噴射と直噴システムの2つのシステムを開発した。直噴システム用のインジェクターは、液体燃料による潤滑なしで機能し、かつトラックなどの耐用年数の間に約10億回の開閉に耐える必要がある。

窒素酸化物NOxは、既存の排出ガス後処理システムを使用するで、大気環境ヘの影響を防止でき、この水素エンジンを搭載した量産車は、2024年に初めて公道で姿を見せる予定だ。

■ 炭素繊維の水素タンクの開発

燃料電池乗用車の水素は現在、700バールの大容量炭素繊維強化タンクに貯蔵されている。ボッシュは、スチール製シリンダーを組み込み、通常バッテリーを搭載する車体床下に設置できるという、2つの新しい特徴を備えたタンクを開発した。

ボッシュ 水素関連ソリューションで水素社会に対応する技術・製品・成果を発表
(画像=乗用車用の革新的なスペース効率の高い水素タンク、『AUTO PROVE』より引用)

外観的には従来のスチール製タンクに似ているが、水素はスチールをもろくする可能性(水素脆性・すいそぜいせ)があるため、公的資金プロジェクトの一環として、高圧タンクシステムに関する厳しい国際規則に完全に適合したプロトタイプシステムが開発された。このタンクの材質はコスト面で優れており、リサイクルも可能だ。

ボッシュ 水素関連ソリューションで水素社会に対応する技術・製品・成果を発表
(画像=IVECO製の燃料電池搭載の大型トレーラー、『AUTO PROVE』より引用)