コンビニの弁当が弁当専門店よりコスパ悪い理由
今回の比較では、セブンの『海苔弁当』が価格的にも内容的にも劣勢となってしまったが、『ある意味では仕方ない。しかし、その企業努力に対して消費者は応援するべき」と評価するのは、流通ジャーナリストの渡辺広明氏だ。
「お弁当という商品は、食材のレベル同じだとしても、できたてのほうが美味しく感じるものなんです。それに流通や廃棄ロスの問題もあり、その場で調理する弁当チェーンのほうがコスト的にも効率良いのは否めません」(渡辺氏)
のり弁当は各弁当チェーンの看板商品であるため、採算度外視の“お値打ち商品”として提供していることが多い。その土台から違っているので、コスパ的にもコンビニ弁当と単純な比較はできないのだ。
「実はコンビニ弁当は、この数年間で売り上げが落ちている商品なんです。消費税の軽減税率やコロナ禍のロックダウン時などを経て、スーパーや一般的な飲食店も、弁当や持ち帰り商品に力を入れ始めました。要するに、ライバルが増えたんです。また、最近にコンビニではスマホを観ながら片手で食べられるようなワンハンドな食品は伸びていますが、腰を据えて食べる弁当のような商品は敬遠される傾向にあるようです」(同)
すでに売れ筋商品ではなくなっている弁当に対して、コンビニが注力するのは難しい局面にあるのかもしれない。
「とはいえ、コンビニも様々な企業努力はしています。素材の選定、買付けから製造、流通過程にいたるまで、あらゆる部門でコストカットを図っています。セブン-イレブンは、環境的負荷を減らすために容器を一新しましたが、一部の商品では同じ形のトレイを流用することで効率性を高めてコストも下げるなどの施策をしています」(同)
内容のリニューアルや容器変更は、一部の消費者から「ステルス値上げ」と揶揄されがちだが、その目的はお客に最大限の価値を提供するための企業努力にほかならない。
「日本の経済はシュリンクしており、食料自給率も低いので、紛争などの国際的なリスクを除いても、食料品に対する値上げ基調というのは避けられません。その大きな流れに対しては、いくら企業努力をしても逆らえない。大手コンビニも企業ですから、今までと同じ利益率で商売するためには、値上げするしかないんです」(同)
値上げした価格であっても、海苔弁当のような日常食は「薄利多売」が前提となる。
「薄利多売であるからには、消費者は『多買』して買い支えないといけない。その循環があってこそ、よりお得な商品が開発されていくので、多少値段が高くなったとしても買い控えはしないほうが経済的にはいいですね」(同)
こうして、様々な「のり弁当」を比較できること自体が、消費者にとって恵まれている状況のようだ。値上げラッシュの今だからこそ、ここに挙げた商品だけでなく様々な「のり弁当」を買って、食べ比べてみてほしい。
(構成=清談社)
提供元・Business Journal
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