■ V型8気筒ツインターボ・エンジン
SF90 XX ストラダーレのPHEVシステムは、V8 エンジンと3基の電気モーターを組み合わせ、2基のモーターはフロント・アクスルに左右独立して搭載。もう1基のモーターは、リヤのエンジンとギアボックスの間に配置されている。この結果、最高出力は1030psを発揮し、フェラーリの新たなパフォーマンス・ベンチマークとなっている。
最高出力797psのV型8気筒ターボ・エンジンをミッドシップに搭載し、PHEVシステムのパフォーマンスを最大限に高める役割を果たしている。
F154FB型エンジンは、SF90 ストラドーレのパワーユニットをベースに、さらにチューニングを加えている。吸排気ダクトの内面研磨で吸気効率を高め、燃焼室の特殊な機械加工と専用ピストンによって圧縮比を向上。従来型からエンジン重量を3.5 kg軽減している。
またレースの魂を凝縮した官能的なサウンドを実現すべく、エンジン・サウンドシステムが再設計されている。いっそう高揚感あふれるサウンドを作り出し、V8の全回転域で美しいハーモニーを奏でるよう、排気系も最適化されている。
吸気チャンバーからの配管は専用設計で、キャビンのバルクヘッドに近づけて配置され、求められたトルクを発揮しようとエンジンが大量の空気を吸入する際に、いっそう刺激的な吸気サウンドを体感できる。また、エンジンにより近くに配置された吸気レゾネーターは、さらに豊かなハーモニーと迫力を生み出すことができる。
■ 駆動モーター
駆動電気モーターの1基は、エンジンとギヤボックスの間に、2基はフロント・アクスルに配置されている。このモデルでは、モーターの最高出力が233ps(171kW)に達する。これに貢献しているのが、エクストラ・モーターブーストを実現する特許取得のビークル・ダイナミクス・ロジックで、フェラーリのロードカーに初めて採用されている。
3基のモーターの動力は高性能リチウムイオン・バッテリーが供給し、フル電動モードでの航続距離は25km。エンジンの停止中も、フロントのモーターのみで最高速度135km/hが可能だ。
PHEVの制御ロジックは、必要に応じて効率性かパフォーマンスのいずれかを優先するようになっている。ドライバーはステアリングホイールにある「eマネッティーノ・セレクター」を使い、4種類のパワー・マネージメント・モードから選択できる。
eDriveモードでは、内燃エンジンは停止し、駆動はすべて前輪のモーターが担当。ハイブリッドモードでは、バッテリーのエネルギー使用を優先し、フル電動の航続距離が最大化するよう自動で制御される。
パフォーマンスモードでは内燃エンジンが常に稼働し、最大パワーが発揮される。クォリファイモードでは、最大ピークパワーを生み出すため、パフォーマンスを優先する制御ロジックにより、新採用のエクストラ・ブースト機能が働くようになっている。