目次
5. 養老天命反転地の全体が見渡せるスポット「精緻の塔」
6. 9つのパビリオンが点在する「楕円形のフィールド」
5. 養老天命反転地の全体が見渡せるスポット「精緻の塔」
極限で似るものの家を出た先にあるのが「精緻の塔」と名付けられたパビリオンです。ここにも岐阜県の地図をあしらった大きな斜面があり、ここに立って振り返ると「養老天命反転地記念館」「昆虫山脈」「極限で似るものの家」と、その近くに竹で作られた「不死門」を眺めることができます。また、視線を先に向けると、すり鉢状に窪んだ大きな「楕円形フィールド」が目の前に広がります。
この精緻の塔はトリックアートのような写真が撮れる絶好の映えスポットです。斜面に植えられている木も斜めに生えているので、マイケル・ジャクソンのように身体を斜めに傾けたポーズ写真を簡単に撮ることができます。また、映えスポットであると同時に、この急斜面でケガをする人が多いらしく、警備スタッフが常に見回っているスポットでもあります。精緻の塔の中には迷路がありますが、出入り口は作られていないため、パビリオンの下に開いている空間から這いつくばって入ります。慌てて頭を打たないように気をつけるほか、楕円形フィールドの広々とした解放感につられて、走り出したくなる気持ちをぐっと抑える必要がありそうです。
6. 9つのパビリオンが点在する「楕円形のフィールド」
「楕円形のフィールド」は極限で似るものの家の一部を切り取った形になっています。この中には「精緻の棟」をはじめ、「陥入膜の径」「白昼の混乱地帯」「もののあわれ変容器」「想像のへそ」「運動路」「宿命の家」「切り閉じの間」「地霊」というフシギな名前の小さなパビリオンが9つ点在しています。また、148もの回遊路と大小さまざまな5種類の日本列島が組み合わせられています。
楕円形のフィールドでは、日常の平衡感覚や遠近感のことは脇に置いて、荒川+ギンズの作り上げた天命が反転してしまう世界にどっぷり浸りましょう。何からどう体験したらいいのか分からない方は、養老天命反転地のパンフレットに書かれている荒川+ギンズが提案する「使用法」を見ながら回ることをおすすめします。
腰掛けても不安定!「白昼の混乱地帯」
極限で似るものの家で見た家具が無造作に置かれている「白昼の混乱地帯」。ただでさえ傾斜のある地面の上に斜めに置かれたソファーに腰掛けてみましょう。本来、ソファーには寛ぎをもたらす要素もあるはずなのに、その不安定さに寛ぎどころか心の落ち着きを失いそうです。そんな状況で、ぐるりと周りを見渡してみれば、文字通り、白昼に混乱を来たしてしまうはずです。
白昼の混乱地帯とペアになるパビリオンは、フィールドの奥にある「運動路」です。ここは、最も傾斜が大きく、ソファーに腰掛けると転がり落ちそうな感覚になります。
緩やかな傾斜が逆に不安定!「もののあわれ変容器」
楕円形のフィールド内の窪みの底付近に位置する、傾きの緩やかなパビリオンは「もののあわれ変容器」です。ほかのパビリオンよりも緩やかな傾斜が逆に安心と油断を生じさせるようで、歩くほどにバランスが崩れて不安定さを増していく感覚が味わえます。油断禁物、心して入ってほしいエリアです。
フィールド奥にある「想像のへそ」は、もののあわれ変容器とペアのパビリオンで、屋根がなくて傾斜がきついのが特徴です。
日本の真ん中「岐阜」で不安定!「宿命の家/降り立つ場の群れ」
楕円形フィールドの底にあたる部分で、フィールド全体にまたがる大きな日本列島の中で岐阜県にあたるパビリオンが「宿命の家/降り立つ場の群れ」です。岐阜県には「日本の人口中心地」「日本の真ん中」なる観光スポットがありますが、この楕円形フィールドの中心にも岐阜県が位置づけられているのは、偶然ではない何かを感じます。
養老天命反転地のメインパビリオン「極限で似るものの家」とまったく同じサイズで、迷路の作りも一緒だそう。上を覆う屋根がないので、迷路の形状がよく分かります。荒川+ギンズが提案する「使用法」によると、このエリアは廃墟として位置づけられていて、異星人であるかのように降り立ってさまようのがおすすめだそう。
先行き不安定な黄色のエントランスの「地霊」
楕円形フィールドの外壁の傾斜を利用した「地霊」は、あざやかな黄色の入口が印象的なパビリオンです。黄色は、目立つがゆえに工事現場やサインで注意喚起に使われることが多く、この地霊でも何やらフシギな香 りを匂わすシンボルカラーとしての役割を十分に果たしています。
細長くて、先が薄暗くて見にくいパビリオンの中は、人が1人ようやく通れるほどの幅で奥へ進むにはかなりの不安を伴います。しかし、勇気を振り絞って歩いて奥まで進むと、天井から光が降り注ぐ空間に行きつきます。そこで天井に見えるもの、それが地霊の正体なのかもしれません。
地霊と同じように暗がりを効果的に使ったパビリオンが「切り閉じの間」です。こちらも斜面を使った構造をしているのが特徴です。
腰掛けても不安定!「陥入膜の谷」
精緻の棟とペアのパビリオン「陥入膜の谷」は、宿命の家と運動路の間に位置しています。傾斜の大きな小ぶりの丘のような場所に建てられたパビリオンの斜めに傾いた壁の間には、ガスレンジやテーブルセットなどが置かれています。荒川+ギンズによる「使用法」には、「通り抜けたり回ったりする時は、目を閉じること」と書かれていますが、その通りに体験するのは危ないため、目を閉じてみる場合は必ず立ち止まるようにしましょう。
余談ですが、「陥入膜」とは、どんな膜なのでしょうか? はっきりとした解に辿り着くことはできませんでしたが、英語では、「trajectory membrane」と表記するようで、「人生の軌跡を表す膜」という意味合いなのかもしれません。