技術が進んでも人の進化には時間がかかる

テクノロジーは不可逆かつスピーディーに進み続けている。だが問題はそれを使いこなす我々人間の方だ。

たとえばセルフレジ一つとっても、イマイチ導入が進んでいるとは言いづらい状況が続いている。ユニクロではセルフレジが極めて大きな進化を遂げており、かごに無造作に服を置くだけで正確にお会計をしてくれる。筆者が初めてこれを使った時は「知らない間に、セルフレジはここまで進化していたのか!?」と驚かされた。

だが、世の中にあるセルフレジの圧倒的多数は、このような先進的なレジではない。多くのセルフレジは、お客さんが操作になれず金額をうまく読み取れなかったり、窃盗防止のために最低限の店員さんを立たせておく必要がある。店舗によっては「マイバッグに入れてほしい」というお客さんの声に応えるために、一度導入したセルフレジをやめるところもある。

また、新技術がインフラのようになるには、市場参加者全員が使いこなせる必要がある。リモートワークが始まり、複数人でビデオ会議をするようになってからも、ITに疎い社員が一人でもいるとそのフォローを余儀なくされ結局非効率になるということも起きている。「大事な話はやはり出社して対面がいい」とテクノロジーの迎合を明確に否定する人も多い。これは技術的な問題というより、心理的な事情によるものだ。