スピルバーグ監督の大ヒット映画『ジュラシック・パーク』(1993)。
本作がきっかけで、恐竜好きになったり、古生物学者になろうと決心した人も多いでしょう。
しかし一方で、恐竜学の歴史は非常に浅く、今も毎日のように新知見や新種の化石が発見され続けています。
そのため、30年近くも前に公開された本作には、科学的事実と異なるシーンがたくさん見受けられるのです。
そこで今回は、実は間違いだった『ジュラシック・パーク』の真実10選を紹介していきます。
※ジュラシック・シリーズは全部で5作公開されており、1作目以外の作品に触れている箇所もあります。
1.蚊から「恐竜DNA」は抜き出せない
映画内で、恐竜をどのように蘇らせたか覚えているでしょうか。
琥珀の中に保存された蚊から恐竜の血液を取り出し、そこからDNAを抽出するというものでした。
しかし、これは本当に可能なことなのでしょうか。
蚊が大量の血を吸うことに成功した後、すぐに木の樹液につかまって、大人しく琥珀に保存されなければなりません。
専門家いわく、この確率は非常に低く、もし恐竜DNAが保存されていたとしても、完璧なDNAサンプルを抽出するのはほぼ不可能とのこと。
恐竜を復活させられるほどのDNAはさすがに手に入らないでしょう。
2.肉食恐竜に「羽毛」がない
映画に登場する肉食恐竜に顕著なのは、羽毛が生えていないことです。
恐竜は大きく分けて、「鳥盤類」と「竜盤類」に分類されます。
鳥盤類の方には、トリケラトプスやハドロサウルス、ステゴサウルスなどの草食恐竜が存在します。
一方で、竜盤類は肉食恐竜を代表とし、中でも「獣脚類」には、ティラノサウルスやヴェロキラプトルなどの狂暴な肉食種が含まれます。
そして、近年の研究により、獣脚類こそが、現代の鳥類の祖先だったと判明したのです。
それを支持するかのように、羽毛の痕跡を残した獣脚類の化石が発見され始めており、専門家たちも今では「肉食恐竜のほぼすべてに羽毛があったのではないか」と考えています。
現在の図鑑では、ティラノサウルスも羽毛を生やした状態で描かれ始めています。
ただ、映画の公開当時は分かっていなかったことなので、「間違いだ!」と非難しては失礼ですね。