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ジープ顔にイギリス製クロカン風ボディの2代目
日本では「西部警察」劇中車のイメージが強い3代目

ジープ顔にイギリス製クロカン風ボディの2代目

ランクルと同期の「パトロール」とはどんな車?歴代車種も紹介
(画像=まさに和製ディフェンダー!な2代目パトロール,『MOBY』より 引用)

しかし、1950年代も末になると建設業などより幅広く民生用途に販路を広げるべく、当時としてはカッコイイデザインへとモデルチェンジが決まって1960年に2代目パトロールを発売。

丸目2灯ヘッドライトやフロントグリル周りに何となくジープへの未練を感じさせますが、それ以外は直線的なフェンダーの角に丸みを帯び、同じく丸みを帯びたボンネットが一弾高くなったあたりはイギリスのランドローバー ディフェンダー風です。

実際、この頃から輸出されたらしいパトロールはまず英連邦構成国で右ハンドル圏のオーストラリアへ輸出、続いて北米にも輸出されますが、面白いのは「ダットサン」ブランドの販売店の店頭に並んでも「ニッサン」ブランドのままだったこと。

おそらく現地では「ニッサンってなんだ?」(※)と思ったことでしょうが、特に北米では1980年代にニッサンブランドを世界展開するまで、ニッサンブランドで本格的に販売したのは2代目パトロールが唯一だったようです。

(※当時の日産ブランドは日本国内向けのトラックやバス、高級車向けで、大半はダットサンブランドだった)

海外での人気はランドクルーザー同様に上々だったようですが、日本国内での民生用途は今ひとつだったのか、「ファイヤーパトロール」と呼ばれる消防用途などがよく知られており、後述するサファリでも2代目まで消防仕様がラインナップされています。

ちなみに筆者の住む宮城県仙台市でも水道局の業務用車両として長らくこの2代目パトロールが使われており、おそらくは予備車両の扱いか動いているのは見かけず、2011年3月の東日本大震災からしばらくして落ち着いた頃、いつの間には姿を消していました。

日本では「西部警察」劇中車のイメージが強い3代目

ランクルと同期の「パトロール」とはどんな車?歴代車種も紹介
(画像=後にミストラルやe-NV200を日本へ輸出する、スペインのモトール・イベリカで現地生産を始めた3代目パトロール,『MOBY』より 引用)

1960年から長らくモデルチェンジもせず販売され続けた…という意味で40ランクルと同じ流れをたどった2代目パトロールでしたが、1970年代後半には静かなブームが始まっていた初期のRVブームに乗っかり、1980年にモデルチェンジした3代目は「サファリ」へ改名。

ただ、この頃の初期RVブームへ合わせてデビューしたり、マイナーチェンジなどで装いを新たにしたクロカン車の多くは「ラダーフレームとリジッドサスにトラック用エンジンを載せ、外観こそ飾ったものの内装は軽視されて快適性はイマイチ」というのがほとんど。

その中でマトモだったのが三菱の初代パジェロで、改良やバリエーション拡大で1990年代RVブームでのクロカン大ヒットへ向け下地を作るのですが、3代目パトロール改め初代「サファリ」も、RVとしてはイマイチだったクチです。

引き続き「ファイヤーサファリ」ともいえる消防仕様は人気だったものの一般向けとして見かけるのは稀でしたが、知名度だけは抜群となったのは伝説の石原軍団刑事ドラマ、「西部警察」の劇中車として多用されたからでしょう。

西部署の特別機動車両として指揮・通信用途といった裏方任務から、放水銃で悪党を蹴散らす大活躍ぶりだったものの、マシンX(C210スカイラインGTターボ)やRS軍団(R30スカイラインRS)より特撮っぽかったためか、販売には結びつかなかったのかもしれません。

2代目に引き続き日本国内での人気低迷とは裏腹に海外では人気を保ち、スペインでの現地生産開始など、着実に販路を広げていきました。