10年後、20年後も安心して住み続けられるのか
修繕積立金が安いのは家計負担を考えると助かりますが、それで、必要な修繕を計画的に実施していけるのでしょうか。国土交通省の「マンション総合調査」によると、築年数の長いマンションでは、修繕計画に対して、修繕積立金が不足しており、今後の計画的な修繕に不安を感じる物件が少なくありません。加えて、築古物件は空室が増えたり、修繕積立金の滞納などが多くなっている可能性もあります。それでは、必要な工事を実施できず、老朽化が一段と進む可能性があり、極端な場合、幽霊マンション化しかねません。防災、防犯面などで不安を感じるだけではなく、管理も十分に行われず、快適な生活を送れなくなってしまいます。
そうなってしまうと、売却するにも売却できず、二束三文で手放すしかありません。築古物件ですから、安いのは安いのですが、安いには安いなりの理由があるので、十分に注意しておきたい点です。もちろん、30年、40年が経過しても良好な維持管理が行われ、定期的な工事で居住性や安全性などが確保されている物件もあります。そうした物件は管理費・修繕積立金も決して安くないはずですから、購入前にその点をチェックしておきましょう。
大規模マンションは月額負担が大きくなる
いまひとつ、マンションの総戸数規模による違いもあります。総じていえば、ある程度の物件数があればスケールメリットで1戸当たりの負担が軽減できるので、図表3にあるように100~149戸の中規模クラスのマンションの月額負担が一番少なくなります。それに対して、戸数が少なくても、必要な管理サービスなどにはそう極端な差はないので、小規模マンションでは1戸当たりの負担が重くなってしまいます。100~149戸の中規模マンションの月額負担の合計は2万3568円に対して、50戸以下の小規模マンションは2万5129円です。
ただ、戸数が増えて200戸以上の大規模マンションだとスケールメリットよりは、大規模化による特性のほうが大きくなって、1戸当たりの負担が増えます。大規模マンションでは、まず各種の共用施設が増えます。キッズルーム、カラオケルーム、ゲストルームなど管理の必要な施設が多くなり、コストがかかります。大規模だと、コンシェルジュを配置するなど管理サービスも充実する傾向が強く、それもコストアップ要因になります。
