- 政府の金融勘定比較
最後に各国政府の資金過不足を1つのグラフにまとめてみましょう。
図8 資金過不足 対GDP比 一般政府OECD統計データ より
図8が一般政府の資金過不足 対GDP比をまとめたグラフです。
各国ともアップダウンがありますが、多くの期間で同じような挙動をしている事がわかります。
2009年、2020年と極端にマイナスなのは、それぞれリーマンショック、コロナ禍に対するリアクションですね。
日本の政府が特殊な挙動をしているのが、1998~2004年です。この期間他の主要国は比較的資金不足の程度が低いか、黒字化していた期間になります。
この期間は日本の企業が負債を減らしていた時期と一致しますね。
そのリアクションとして政府が負債を増やしていると理解できそうです。
図9 政府純負債 対GDP比OECD統計データ より
図9はIMFによる政府の純負債 対GDP比の推移です。
日本政府は、1997年までは比較的低めの水準で、ドイツ、フランスと同程度でした。
それが1998年以降でマイナス水準がが大きく増え、イタリアと同程度となります。
この当時の挙動分だけ、負債の水準が他の水準よりも嵩増しされているような状況ですね。
- 政府の金融勘定の特徴
今回は、主要国政府の金融勘定について眺めてみました。
主要国の政府は、経済危機時に大きく負債(主に国債)を増やすという挙動がみられます。それ以外にも、基本的には資金過不足マイナス気味で推移している共通点も確認できました。
日本政府の負債水準が問題になりやすいですが、その一部は1998~2004年の企業の変調時に積みあがった分が大きく影響していそうですね。
この期間が他国と比較して日本特有のイベントだったことがわかります。この期間で対GDP比40~60%分追加で積みあがったような推移です。
経済活動が主体間で繋がっているため、企業や家計の変調に対して政府がリアクションしているような印象を持ちました。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2023年6月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。