1. 政府の金融勘定:フランス、イギリス

    続いてフランスとイギリスについても眺めてみます。

    図4 フランス 一般政府 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図4がフランス政府の金融勘定 対GDP比です。

    1996年以降のデータですが、挙動は他国と似ていますね。やはり2009年と2020年に大きく資金不足となっています。

    経済的な危機になると、政府がリアクションして負債を増やしている状況です。

    概ね資金過不足でマイナス5%前後で推移しています。

    図5 イギリス 一般政府 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図5はイギリス政府の金融勘定 対GDP比です。

    1991年から1997年頃にかけて資金過不足が大きくマイナスになる期間が観測されます。

    経済企画庁の情報によると、イギリスは1989年から1992年にかけて景気後退期だったようです。

    1テンポ遅れて政府が支出を増やして対応したという事なのかもしれませんね。とても興味深い挙動だと思います。

    その後2000年にかけて資金過不足が解消されていきますが、2001年からはまたマイナスです。

    概ね挙動としてはほかの主要国と連動しているように見えますね。

  2. 政府の金融勘定:カナダ、イタリア

    続いてカナダとイタリアです。

    図6 カナダ 一般政府 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図6がカナダ政府の金融勘定対GDP比です。

    とても特徴的な傾向ですね。

    1990年代後半までは資金過不足が大きくマイナス(5~10%)で、その後はゼロ近辺が続きます。

    リーマンショック、コロナ禍でのリアクションも確認できますが、比較的すぐにゼロに戻っていますね。

    図7 イタリア 一般政府 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図7がイタリア政府の金融勘定 対GDP比です。

    1993年以前のデータが無くて残念ですが、1995年の時点では資金過不足マイナス8%の状態だったようですが、その後5%未満の状態で推移しています。

    イタリアは経済が不安定で、政府の負債が多い国として知られていますが、1995年以降の金融勘定としては他国とそれほど変わりません。

    ストック面での純金融負債を見ると、1995年の時点ですでに1兆ユーロに達していて、ドイツやフランスの倍程度の水準だったので、それ以前のマイナスが大きいのかもしれませんね。