投下資金を何年で回収できるかを示すPER

一方、マンションPERというのは、証券用語の株価収益率をマンションに当てはめたものです。証券用語では現在の株価が企業の利益水準に対して割安か割高かの判断の基準になります。マンションでは、分譲マンションの新築価格が、同じ駅勢圏の分譲マンションの賃料の何年分に相当するかを求めた数値になります。つまり、マンション投資を考えた場合、購入価格(投下資金)を、何年分の賃料で回収できるかを示します。

たとえば、分譲価格が5000万円のマンションを賃貸で運用する場合、家賃15万円で年間家賃収入が180万円とすれば、5000万円÷180万円でPERは27.8という計算です。しかし、同じ5000万円のマンションで年間賃料収入が200万円ならPERは25.0で、年間賃料が250万円ならPERは20.0に下がります。

つまりPERの数値が小さいほど投下資金を短期間で回収でき、家賃見合いで考えれば割安感があり、お買い得のエリアということができます。反対に、PERの数値が大きいと、割高感があり、投資効率を考えれば、あまりお勧めできないエリアということになるわけです。

検見川浜駅なら投下資金を16年で回収できる

そのマンションPER、2022年の首都圏の平均は25.67でした。2021年から1.11ポイント上がり、賃料見合いでは割高にシフトしたことになります。マンション価格が上がっている割には、賃料はさほど高くならないので、PERの数値が大きくなっています。首都圏の数値が25を超えたのは初のことだそうです。

首都圏のPERの駅別の分布をみると、都心や山手線の周辺駅ではほとんどがPER26以上で、賃料見合いではかなり割高感があります。PERが20以下の駅は極めて少なく、価格高騰の折り、割安感のある駅は少なくなっていますが、それでも、探してみればPERが20以下の駅もあります。首都圏でPERが最も低かったのは、図表2にあるようにJR京葉線の検見川浜駅の15.96でした。70平方メートル換算価格は4000万円を切っているので、将来性を考えて購入するには、たいへん魅力的なエリアといっていいのではないでしょうか。次いでJR総武線の津田沼駅も15.97とPERが20を切っていますが、こちらは70平方メートル換算価格は4000万円台後半になります。

マンション、意外にリセールバリューが高い駅を検証…大宮・立川・片瀬江ノ島など
(画像= 2022年の首都圏平均は25.67、2年ぶりに上昇し初の25ポイント台 (kantei.ne.jp)、『Business Journal』より引用)