「審判員は、本当にただの審判員」
ー選手とレフェリーの理想の関係性を教えて下さい。
山下氏:とにかく選手がプレーに集中できる環境を整える。サッカーの魅力を最大限に引き出すという目標を達成するためにやっている役割なので、(選手との)関係性という部分に直接答えは出せないんです。審判員は、本当にただの審判員なので。選手とコミュニケーションをとることであったり、選手と良い関係を築こうとすることが審判員の役割ではないので。
それがサッカーの魅力を最大限に引き出すとか、選手がプレーに集中できるとか、お客さんも夢中になって試合を観れるとか、そういうところに繋がっていくなら必要なことかもしれませんけど。それが目標になってはいけないと思っています。根底の目標を見失わずに、それを達成するための必要な関係性を選手と築く。これが審判員にとっては必要だと思います。
ーサッカーの魅力を高めるためのレフェリングとはどんなものだと考えますか?また、レフェリーに向いている人物像やパーソナリティはありますか?
山下氏:競技規則を施行するというのが、審判員の一番の仕事です。それを正しくできるようにする。正直それだけが、審判員としてできることだと思っています。そう言いながら色々考えちゃうと「そうじゃないかな(違うかな)」とかも思ってしまうんですけど。
審判員として、それ以上はできないような気がします。とにかく私自身は、それしか考えていないです。1試合というよりも、1つ1つの事象や判定(試合中に)起こることに丁寧かつ誠実に対応する。審判員が試合のなかでそれを続けることが、サッカーの魅力を高めることに繋がっていくと信じています。レフェリーに向いている人物像は、サッカーが好きということしかないと思います。それだけで審判員としての資質は十分です(笑)。
ー日本国内における今後の割り当て試合、今夏の女子W杯に向けた抱負をお願いします。
山下氏:もちろん、女子W杯というのは大きな大会です。でも、その大会のためにも目の前の試合というのが、私のなかで常に目標になってきます。次の試合でいかに良いパフォーマンスをするか。いかに良いゲームにするか。いかにサッカーの魅力を高めるか。これらを目標にして、そのための準備を日々積み重ねていきたいです。
(了)