1. 企業の金融勘定:ドイツ

    続いてドイツの企業の金融勘定です。

    図3 ドイツ 非金融法人企業 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図3がドイツの企業の金融勘定 対GDP比です。

    とても分かりやすいですね。資産側は株式等が多く、自国及び他国企業の株式取得が非常に多いことを示しています。

    近年は対外直接投資が増えていますので、他国企業の株式も多く含まれているものと推測されます。

    一方、負債は借入と株式等を増やしています。

    2000年に極端に大きな水準に達していますが、どのようなことが起こったのか興味深いですね。

    金融資産の株式等が増え、同じくらい負債の株式等も増えています。

    国内企業の株式を、国内企業が取得しているという事になると思います。

    資金過不足もプラスマイナス5%の範囲でアップダウンしています。

  2. 企業の金融勘定:フランス、イギリス

    続いて、フランスとイギリスの企業について眺めてみましょう。

    まずはフランスからです。

    図4 フランス 非金融法人企業 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図4がフランスの企業の金融勘定対GDP比です。

    ドイツよりもさらにプラスとマイナスが対照的ですね。

    構成はドイツに似ていますが、金融資産のうち貸出の存在感がやや大きく、負債のうち株式等の割合が大きいようです。

    負債のうち借入も基本的に増え続けていることがわかります。

    資金過不足はゼロ近辺でアップダウンしていますが、振れ幅はドイツよりもさらに小さいですね。 ほぼ相殺されている状況のようです。

    日本の企業とは全く異なる挙動だという事がよくわかります。

    図5 イギリス 非金融法人企業 金融勘定 対GDP比OECD統計データ より

    図5がイギリスの企業の金融勘定対GDP比です。

    ドイツやフランスと似たような傾向ですね。2000年に向けて極端に規模が拡大し、それ以降収縮している状況も合致しています。

    やはり負債側の株式等と資産側の株式等が同じくらいの水準です。

    国内企業同士の株式持ち合い(持ち株会社の可能性あり)が考えられそうです。

    負債側の借入も基本的に増えていますが、2009~2015年で変調がみられますね。

    この時期のイギリスは、平均給与の実質値などが停滞するなど、経済の変調が著しかった時期です。

    資金過不足はゼロ近辺でアップダウンしています。

    欧米諸国の企業活動は、日本とは大きく異なるようです。