検証2 辞書的な回答

辞書に書いてある内容を正しく、創作を交えずに回答できるかどうかの検証をした。質問は以下の通り。

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みずがめ座とはなんですか?
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「ChatGPT」と「Bing AI」、「AIチャットくん」を使ってみた【比較】
(画像=ChatGPTで辞書的な回答を検証、『BCN+R』より引用)

ChatGPTの回答はほぼ模範的で間違いない回答だ。ただし、占いとしての「水瓶座」の人の性格についての記述は、あくまで占いの域を出ない。

また、「実際の星々とは異なるもの」という記述が余計な一言になっている。みずがめ座の恒星それぞれには名前がつけられており、実際の星々の命名に関係はあるものの、みずがめに見えるのは地球から見た場合のみであって、別の星系から見れば地球と同じようには見えない。

みずがめの形に見えるというのも、なんとなくそう見えるだけであるため、事実でも嘘でもない点として扱いが難しい表現だろう。

「ChatGPT」と「Bing AI」、「AIチャットくん」を使ってみた【比較】
(画像=Bing AIで辞書的な回答を検証、『BCN+R』より引用)

Bing AIの回答は間違っている点はないが、検索意図として求めている情報は記載されなかった。星座に関する質問をされた場合は、生年月日に関する占い的な説明、天文学的説明、ギリシャ神話を由来とする点に関する説明が必要になるが、どれも説明がいまいちで検索し直す必要があるだろう。

間違いは述べていないが情報は不足していた。

「ChatGPT」と「Bing AI」、「AIチャットくん」を使ってみた【比較】
(画像=AIチャットくんで辞書的な回答を検証、『BCN+R』より引用)

AIチャットくんの回答では、まず「1月20日から2月19日」が一般的だが、厳密には切り替わり時刻によっては1月20日に生まれた人でも山羊座になることがあるため、はっきりと間違っているとは言えないが、正確な表現ではない。

後半の回答も抽象的な回答で終わっており、みずがめ座に関する説明としては不足していた。

検証3 読書感想文

太宰治の小説「走れメロス」の感想文を書いてもらった。学校で履修している人が多く、内容もすぐに思い出せる話だろう。指示内容は以下の通り。

青空文庫

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小説「走れメロス」を読んだ感想を400文字以上で書き出してください。
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「ChatGPT」と「Bing AI」、「AIチャットくん」を使ってみた【比較】
(画像=ChatGPTで読書感想文を検証、『BCN+R』より引用)

ChatGPTは、出力文字数497文字で文字数の条件は満たしているが、感想文の内容には間違った部分がいくつかあった。

メロスは老人に騙されたのではなく、メロスの正義感が勝手にそうしただけであって、老人は大衆居酒屋でいう所の政治への愚痴を吐き捨てているようなものであって、これに関してはメロスが悪いと考えるべきだろう。本作を読むと、老爺にはメロスを騙す意図はない。

また、セリヌンティウスは裏切っておらず、死刑にもされていない。どちらかというと物語全体を通して、控えめに言ってもメロスがクズだろう。

このChatGPTが生成した読書感想文は学校では通用しない。先生に「本作を読み直し、感想文を書き直しなさい」と言われることだろう。

「ChatGPT」と「Bing AI」、「AIチャットくん」を使ってみた【比較】
(画像=Bing AI で読書感想文を検証、『BCN+R』より引用)

Bing AIは、出力文字数276文字と文字数条件を満たしていなかった。また、古代ギリシャを舞台にしてはいるものの伝説に基づいてはいないため、嘘の情報を書いている。ヒュギヌス『神話伝説集』を元にしている可能性はあるが、物語の多くが太宰治氏による創作なので「伝説に基づいた」という言い方は不適切だろう。

また、妹を救うために王様に罠にかけられるという部分も間違っている。メロスが老爺の言葉を鵜呑みにして、メロス自身が勝手に城に短剣を持って入り、妹の結婚式に出てから戻ってくる担保として友人を差し出すというストーリーだ。状況をよく考えれば王様も妹も友人セリヌンティウスも、何も悪くない。王のいる城に短剣を持って入ったら捕まるのは当然だ。

「ChatGPT」と「Bing AI」、「AIチャットくん」を使ってみた【比較】
(画像=AIチャットくんで読書感想文を検証、『BCN+R』より引用)

AIチャットくんは、出力文字数593文字と条件を満たしている。内容については、メロスが若い女性とセリヌンティウスに道端で出会っているという点から間違いが始まっている。セリヌンティウスがメロスに助けを求めていたり、72時間の捕縛にあうのがメロスになっていたり、物語が明後日の方向に変貌していた。

また「走れメロス」を読んでも「多くの読者に勇気を与え」ることはないと考えられ、読書感想文としてはやり直しになる可能性が高いだろう。